2010年1月12日火曜日

環境汚染「ワースト1」の街は今――中国・山西省

(CNN 12月26日)

もやに覆われた太陽、どんよりとした空。
車も建物もかすんで見える。
山西省南部の臨汾市は、06年に世界銀行の報告書で、
世界一環境汚染の深刻な街。
その後、当局が大規模な汚染防止対策を進めてきたものの、
スモッグに包まれた住民の暮らしは相変わらず。

同省は、中国の石炭産業の拠点。
その中核となる臨汾には、多くの炭鉱や製鋼所が集中。
ヒツジ飼育農家のシュエさん(78)が、
この街にやって来たのは40年前。
大きな工場が建ち始める前。
今、シュエさんのヒツジは、ばい煙を吐き出す煙突の陰で育つ。
「工場の近くの草を食べさせると、生まれるヒツジに
先天異常が出る」と、シュエさんは訴える。
「だが、われわれの声に耳を傾けてくれる人はだれもいない」

環境汚染の「ワースト1」という汚名を返上しようと、
当局は過去数年間、環境浄化事業に力を入れてきた。
数百カ所の炭坑や工場が閉鎖された結果、
07年の市内総生産(GDP)は約270億円も減少。

残った工場にも、厳格な環境基準が課せられた。
近郊のある製鋼所では、約1億8000万円の費用をかけ、
汚染物質の排出を抑えるシステムを導入。
煙突には、当局が排出物を監視するための
巨大な装置が取り付けられている。

街を覆うスモッグは今も、住民の生活の一部。
「われわれにとってはもう慣れたこと」と、シュエさん。
「製鋼所は、雇用を提供してくれる。
私の息子も雇ってもらっている。
働く場所があれば、お金がもらえるのだから、住民も助かる」

外からこの街を訪れた者は、しばらく屋外にいるだけで
目やのどが痛み出す。
路上で風船を売る女性は、上空のもやを気にも留めず、
「以前よりはずいぶん良くなったのよ」と、明るい表情。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200912260014.html

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