(毎日 4月23日)
人影まばらな平日の愛知・半田球場。
デザインの違うユニホーム姿の5人が、ノックを受けていた。
今春結成された硬式野球チーム「ルーキーズ」の練習。
「今のグラブさばきはいいぞ」、
ユニホーム姿の山田豪理事長(41)がほめると、
選手から「よーし」と威勢のいい返事。
弱小高校の野球部が、甲子園を目指すテレビドラマや映画が
大ヒットした「ルーキーズ」。
その名にあやかって発足したチームは、
高校野球をあきらめた若者に、再挑戦の機会を提供することを目的。
運営組織は、非営利のNPO法人として申請中。
山田理事長は、かつて社会人野球でプレーし、
愛知・緑丘商高の監督を務めたこともある。
社会人の日本プロスポーツ専門学校野球部のスタートにも携わった。
通信制高校とも連携し、高校卒業資格の取得を奨励、
将来はクラブとして、都市対抗への出場を目指している。
ルーキーズに入った須藤慎太郎(18)には、苦い経験が。
高校で野球部に入ったが、部内のトラブルで退部し、
学校もやめてしまった。
友人が甲子園を目指し、プレーしている姿を見て、
再び野球がやりたくなった。
今は、神奈川県の通信制高校に籍を置きながら、
愛知県内に下宿。
「このチームで、自分の限界まで野球をやってみたい」
山田理事長が、中途退部者に注目したのは、
知人らを通じ、親からの相談を何度も受けたから。
「子どもが、高校の野球部も学校もやめた。受け皿はないか」
インターネットのホームページでも募集、約1カ月半。
問い合わせは、東北から九州まで40件、
甲子園常連校の中退者からもある。
日本高校野球連盟の09年度調査によると、
全国の高校野球部員数は約17万人(硬式)。
入部して3年生まで続けた「継続率」をみると、
2割弱が退部という結果。
ルーキーズの会費は年間20万円、通信制高校に入学すれば、
さらに60万円が必要な中、発足時に集まったのは5人。
3人が高校中退者、2人は中学卒業後、
高校に進むことをあきらめた少年たち。
ルーキーズは、そんな彼らの「再チャレンジ」を
後押ししようと意気盛ん。
社会人を統括する日本野球連盟から、
「年間日程をこなすには、部員が30人程度必要」とアドバイス、
理想と現実にはまだ開きがある。
監督は、愛知大野球部副部長の桜井智章さん(52)が務め、
「野球だけで生きていける人は一握り。
大事なのは、高校卒業の資格を取ること」
まずは野球の場だけでなく、社会に出ていけるような
環境を作ってあげようという姿勢。
神奈川県二宮町には、サッカーの横浜FC会長の
奥寺康彦さんが校長を務める「奥寺スポーツアカデミー」
01年に開校、学校教育法に基づく「技能教育施設」として、
サッカー専修コースを設置。
寮を併設し、他校からの転・編入生も受け入れ、
通信制高校と連携しながら、高校卒業資格を得られる。
ルーキーズは、このシステムを参考。
スポーツに、希望と夢を抱く若者たち。
すべてが思い通りに実現するわけではない。
夢破れた後、どんなセカンドチャンスが待っているのか?
山田理事長は、「もう一度努力する大切さを教えたい」
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/04/23/20100423ddm035050073000c.html
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