2010年5月10日月曜日

慶大SFC20年(5)若い力 地方で生かす

(読売 5月1日)

岐阜県飛騨市の旧古川町にある市役所の会議室で、
慶応大学総合政策学部の女子学生3人が
「飛騨市PRプロジェクト」の最終報告会を開いた。

慶大湘南藤沢キャンパス(SFC)が、3年前から
全国で展開するスタディツアーの一つ。
学生が、教員と共に現地に出向いて地域の課題を知り、
政策立案過程を学ぶ。

古川は、NHKの連続テレビ小説「さくら」の舞台として話題、
飛騨市の観光客は、近年減少傾向。
3人は、「飛騨市の観光振興、地域ブランド活性化に取り組む」
というテーマで昨夏、1週間にわたって市内を調査。

8月末、東京の麻布十番納涼祭で、特産の和ろうそくと
飛騨市の魅力を紹介するミニ新聞を配った。
ミニ新聞には、3人が「都会で頑張る若い女性たち」を
呼び込む記事を書いた。
最終報告会は、これまでの取り組みを地元の人に伝えて
意見を聞くのが目的。

質疑の時間には、「祭りの場で、配布物をもらった人に
思いが伝わったかどうか気になった」という声。
指導教官の古谷知之・准教授(37)(3期生)から、
「目標設定が甘い」と指摘、隣の高山市出身という3人は
「至らない面も多かったが、地元のよさを見直した」

古谷さんも、「活動を通して、地方の良さを大都市に発信する力を
身につけることができるはず」

スタディツアーは、受け入れ先で、卒業生が協力してくれる点が強み。
飛騨市で調整役として動いたのは、コンサルタント会社
「美ら地球(ちゅらぼし)」の山田拓さん(35)、慈芳さん(35)夫妻。
慈芳さんがSFCの4期生。
企業研修から、外国人向け旅行手配や古民家調査まで手がける。

2人は、外資系コンサルタント会社勤務を経て、
世界を回る旅を2年近く続け、2008年、全く縁のない
飛騨市に住み着いて起業。
定住のきっかけは、SFCの友人のつてで紹介された
前飛騨市観光協会長と意気投合したこと。
「地方と都市のかけはし」の担い手を目指し、
SFCで地域活性化について講義をしたことも。

スタディツアーは、岐阜、宮古島(沖縄)、酒田(山形)、
南阿蘇(熊本)、長崎などで開かれた。
参加者の中には今春、ツアー先で就職を決めた学生も。

山田夫妻は、「学生の関心が、地方に向いている。
地方という選択肢があることを教えてあげたい」、
「地方には、若いエネルギーが欠けている。
それを埋め合わせるのも我々の役割」

東京への一極集中と地方の疲弊が問題になる中、
地方を活性化するために、大学と学生が持つ役割は小さくない。

◆スタディツアー

訪問先での体験や交流を通した学びが、目的の旅行。
民間活動団体(NGO)や旅行会社が企画する例も多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100501-OYT8T00278.htm

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