2010年5月9日日曜日

時差ぼけを予防したい

(2010年4月30日 毎日新聞社)

「日本の真夜中だし、眠くて眠くてしょうがない」
出張で欧州滞在中の2月中旬、夕方になると
耐え切れない睡魔に連日襲われた。
8時間の時差に慣れたころに帰国。
しばらくは、眠気とだるさの「時差ぼけ」に悩まされた。

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の
白川修一郎客員研究員(睡眠学)は、
「海外旅行など、5時間以上の時差がある地域に
短時間で移動すると、時差ぼけが起こりやすい」

日本から、ハワイ以遠の地域が該当し、
欧米への旅行ではまず避けられない。
ゆっくりと移動する船旅では、時差ぼけは起きにくい。

人間の生活は、約24時間周期の「生体リズム」の影響下に。
代表的なのが、睡眠や目覚め、心拍数、血圧、体温など
自律神経が支配しているリズムで、時差が大きいと
現地のリズムにはすぐに同調できず、
日本の時間帯で動こうとしてしまう。
これが、時差ぼけといわれる睡眠障害や
自律神経障害が起きる仕組み。

時差ぼけの軽い症状では、単に眠い程度で済むこともあるが、
頭痛や食欲不振、胃腸病などの症状が同時に起きることもあり、
大切な仕事や楽しい観光が台無しになることも。

「時差ぼけへの抜本的な対策はない。
症状を軽くする対策はある。
基本は、『西向きは遅らせる』、『東向きは前倒し』。
無理をせず、余裕のある旅行プランを」と白川さん。

●旅行前

まずは十分、睡眠をとって万全の体調で臨みたい。
北米など東向きへの旅行では、生活パターンを
出発の約1週間前から、1時間でもいいから前倒し。
欧州など西向きなら、生活時間を後ろに遅らせる。
リズムが現地時間に同調しやすくなる。
到着日の夜、十分な睡眠を取れるような計画にすることが大切。
持病で投薬治療中ならば、現地で薬を飲む時間について、
主治医と相談しておくといい。
睡眠について心配な人も、事前に医師と相談するべき。

●機内では

なるべく現地の時間のリズムに合わせることが大切。
現地が夜の時間なら、少しでも仮眠をとるように心掛け、
朝ならコーヒーなどカフェインをとってみるのもいい。
仮眠には、アイマスクや耳栓も役に立つ。
機内は乾燥しているので、水分を十分に取ることで
体調を整えることも大切。

●現地では

米国や欧州などへの旅行では、日本とは昼夜逆転した
早朝に到着することも。
ホテルに入っても、眠るのを我慢し、ホテルの周辺を散歩し、
太陽を浴びるのもいい。
食事は必ずとり、特に朝食は明るい場所でとることが、
生体リズムを整えるのに有効。

団体旅行では、現地でバスを利用するのなら、
日本の真夜中にあたる時間帯に仮眠をとるのも効果的。
帰国後の時差ぼけを防いだり、軽減するためにも、
帰国前には日本の時間に合わせて行動を始めることが大切。

◇持病の薬は日程プラス1週間分を

アイスランドの火山噴火で、欧州の空の便が乱れ、
日本人旅行客も現地に足止めに。
予期せぬトラブルに見舞われるのは、旅行につきもの。

日本旅行医学会の篠塚規・専務理事は、
「自然災害や事故、テロなど交通機関がストップすることはよくある」、
持病がある人は、旅行日程プラス1週間分の薬を持参。

同医学会は、書き込み式の「自己記入式 安全カルテ 
海外旅行を安全に楽しむためのもうひとつのパスポート」
(1500円)を販売。
一般的な旅行の注意が記載、持病について自分や主治医が
書き込めるスペースがあり、海外で緊急時に医師に提示すれば、
適切な対処を受けることができる。
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■日本と主な都市(国)との時差(時間)
 時差 都市(国)
 +3 ウェリントン(ニュージーランド)
 +1 シドニー(豪)、グアム(米)
 ±0 日本、ソウル(韓国)
 -1 北京(中国)、シンガポール
 -2 バンコク(タイ)、ハノイ(ベトナム)
 -4 モルディブ
 -5 モーリシャス
 -6 ナイロビ(ケニア)
 -7 アテネ(ギリシャ)
 -8 パリ(仏)、ローマ(伊)
 -9 ロンドン(英)、リスボン(ポルトガル)
-14 ニューヨーク(米)
-17 ロサンゼルス(米)
-19 ハワイ(米)
 ※夏時間は考慮していません

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/30/119713/

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