2010年5月11日火曜日

慶大SFC20年(6)アジアへ存在アピール

(読売 5月5日)

米国独立宣言の署名者、ベンジャミン・フランクリンのドル紙幣、
エリザベス女王のポンド紙幣、1万円札の福沢諭吉が大写しに。

慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)を紹介する
中国語のプロモーションビデオは、
慶応義塾の創立者の偉大さにこだわった。

最も出演時間が長いのは、インターネットの分野で
世界的に著名な村井純・環境情報学部長(55)。
ネット大国にもアピールできる。
橋本竜太郎元首相の次男、橋本岳・元衆院議員(36)も、
SFC三田会(OB会)代表幹事として出演。
内容は、当時、SFC研究所上席訪問所員だった
中国・上海の実業家、陸楽さん(4期生)の意見を聞きながら決めた。

SFCは、諸外国の日本研究の拠点をめざす組織を作った。
最新の国際化の試みの一つ。
代表の加茂具樹総合政策学部准教授(37)(2期生)が、
中国研究者であるため、手始めに中国語圏で、
高校生の保護者世代に幅広くSFCの存在を知ってもらおうと企画。
同時に作ったパンフレットも同様。

SFCも、韓国や中国の大学と二つの学位が取れる
ダブル・ディグリー制度を5年前に始め、
インドネシアの公務員向けプログラムや英語だけで
修士、博士が取れるコースに取り組むなど、
大学院レベルの国際化は進んでいる。
留学生は、昨秋時点で158人。
6年前の約3倍に増えた。

慶大のアジアでの知名度は、戦前、アジアからの留学生が
母国に帰って指導者層になった早稲田大に比べ、高くない。
学部段階の国際化を進める上で、
アジアでの存在感アップが欠かせない。

環境情報学部は来秋、文部科学省の国際化拠点整備事業
(グローバル30)の一つとして、英語による授業だけで
学部を卒業できるコース(定員約15)を設ける。
5年で修士まで取れる一貫教育の仕組みも検討中。

SFCでは開設当初から、英語を第1外国語とせず、
アラビア語やインドネシア語など、様々な言語の中から学ばせる
多言語主義を取ってきた。
アジアなどの発展途上国で活躍する卒業生も多い。
この人脈は、キャンパスの国際化を後押しする。

「卒業生は、個人か、大学とは別組織で活動している。
大学の名前を海外で刻むには、大学主導で、
現役の教員や学生が行動を起こす必要がある。
それなりの予算と規模が求められる」、
レバノン在住の佐野光子さん(8期生)。
地元大学の学術交流日本センター副所長で、
アラブ映画を日本に紹介。

学内には、「留学生を迎える、送り出すだけでなく、
留学生が日本人学生に刺激を与えることも国際化だ」という声。
国際化をどう進めるか?
日本の大学が直面する大きな課題だ。

◆グローバル30

日本への留学生増を図る留学生30万人計画に基づき、
初年度の2009年度は13大学を採択。
英語だけで学位取得できるコースの設置など、厳しい条件がある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100505-OYT8T00274.htm

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