2010年5月12日水曜日

インタビュー・環境戦略を語る:コスモ石油・松村秀登常務

(毎日 4月26日)

景気低迷と低炭素社会への流れを受け、コスモ石油は
本業の石油精製・販売以外への事業拡大を進めている。
買収による風力発電事業への参入、バイオマス(生物資源)による
バイオガソリン生産など、環境貢献に企業の持続性を託そうと。
具体的な取り組みを、環境担当の松村秀登常務に聞いた。

--環境重視の中で、どのような事業展開を考えているか?

◆私どもは、エネルギーの安定供給が使命。
どのようなエネルギーを提供したらよいかが、最も大きな問題。
国内の石油需要が減る中、新エネルギーや環境といった
事業領域の拡大を目指すべきだ。

--具体的な事業は何か?

集光太陽熱、太陽電池の多結晶シリコン、風力発電、
先端技術としてバイオマス。
こうした分野の研究開発を進め、一部を事業化。

反射鏡で一点に集めた太陽光熱を利用する集光太陽熱は、
アラブ首長国連邦・アブダビに、100キロワット級の
実証実験プラントを建設し、データ収集。
多結晶シリコンは、07年から始めた。
「亜鉛還元法」という製造方法で、研究段階だが、
従来の手法より低コスト。
新分野に足がかりを見つけ、早く事業化したい。

--風力発電を買収し、業界4位に。

◆風力はもともと手がけており、将来性があると考え買収。
低炭素社会を目指す国のさまざまな制度もあり、採算が見込める。
石油事業が縮小し、風力の分野で補っていきたい。

バイオマスは、合成ガスから合成燃料や軽油、ガソリンを造る。
ターゲットは、マレーシアなどのアブラヤシの廃木処理。
今は技術開発段階、もともと持っている合成ガス化技術と
組み合わせ、海外展開も含めた形で進める方針。
バイオガソリンにも力を入れる。
堺市の工場で2011年、バイオエタノールと石油系ガスを
合成した「バイオETBE」の生産施設が完成。

余剰となっている精製施設の集約の意味もあり、
消費者には「環境に貢献したい」という需要が。
石油会社として、応えたい。

--石油以外の多角化ということか。

環境商品として、医薬、肥料、健康食品に使える
アミノ酸の一種「ALA(アラ)」を配合した肥料にも力を入れる。
昔、石油たんぱくの発酵技術に約20年間取り組み、
それがやっと花開いた。
企業である限り事業領域を拡大し、継続性を目指す。
石油だけではなく、将来の柱を持っておくべきで、
それが今なら環境だということ。
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◇まつむら・ひでと

75年京都大工学部卒、丸善石油(当時)入社。
コスモ石油坂出製油所長、執行役員を経て、
2009年6月から現職。長野県出身。57歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/04/26/20100426ddm008020023000c.html

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