2010年5月5日水曜日

慶大SFC20年(2)AOの元祖 胸張る評価

(読売 4月23日)

「サーフィン好きで、書道の師範免許もあります」
日焼けした若い女性は、まず特技をアピール、
「東京の新宿に新しくできた高層ビルに感動して、
建築家になりたいと思いました」と受験の動機を話し始めた。

「民族間紛争で、大きな犠牲を出したアフリカのルワンダに、
友好のシンボルとして摩天楼を造りたい」という
夢の実現までの道筋を語ったのは7分間。

予備校「早稲田塾」が開いた、AO・推薦入試特別講座保護者会。
講座の中心は、SFC(慶応大学湘南藤沢キャンパス)対策。
環境情報学部に進んだ鈴木葉月さんが、
入試でのプレゼンテーション(口頭発表)を再現。

SFCは1990年、面接を重視するAO入試を日本で初めて導入、
毎年、総合政策、環境情報両学部で定員(各425)の
2割前後を入学。

約2000字で、入学後の学習計画まで記す
志望理由書が一番の難題。
提出書類を元にした30分の面接では、任意のプレゼン後、
複数の教員が「そんなことができるのか」、
「どんな意味があるのか」、
「なぜあなたがそれをしなければいけないのか」と、
たたみかけるように質問を浴びせる。

慶大OBでスタッフを固めた講座は、自分の言葉で
志望理由書が書けるよう、ゼミ形式で徹底して話し合う。
まず、自分を知る。
どんな研究をして、どう社会とかかわるか。
独創性が問われる。
将来展望が具体的でないと、面接時に何も言えなくなる」
保護者会でも、こんなゲキが飛んだ。

私立鴎友学園女子中学高校では、SFCが誕生した頃から、
その志望理由書を原型にした小論文指導。
「たまたまSFCに連絡を取ったら、受験生一人ひとりを
よく覚えていてくれた。
AOで、細かく見ていることがよくわかった」と吉野明教頭(59)。

10年前、全校的に取り組み、高校2年の終わりから
春休みにかけ、志望校に関係なく全員に書かせる。
「何も書けずに泣き出す子もいるが、
最後は『やってよかった』と言ってくれる」。
今春、86%が「学問で進路を選んだ」と回答、
「親に言われて」はほぼ皆無。

SFC内部では、教員から「可能なら全員をAOで取りたい」という声。
「他大学との違いは、大学の教育内容との連動だ」と職員が胸を張る。
入学後の学業成績や塾長賞などの顕彰実績も、
高評価を後押し。

AO入試を実施する大学が急増し、その評判は芳しくないが、
元祖の評価はすこぶる高い。

◆AO入試

2008年度、全大学の7割近い498校が導入。
形式的審査で合格させ、学力不足が問題視される大学も少なくない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100424-OYT8T00223.htm

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