(読売 4月23日)
普段着の若者が一人、また一人、
東京・代々木の会議室のドアをノックする。
20~30分おきに十数人。
慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生たち。
大学から、バスと電車で約1時間半。
学生たちは、会議室を訪ねるようにとしか指示を受けていない。
部屋では、外国人の集団が英語で話し続け、
どう割って入ろうか、立ち尽くす学生も珍しくなかった。
SFCが試みる、グローバルリーダーシッププログラムの一環。
学生たちは、2~3月にかけ、地元企業の研修施設に泊まり込み、
人材育成にかかわる本城慎之介さん(37)(2期生、元楽天副社長)ら
から指導を受け、中国・上海から来日した高校生の世話係も務めた。
SFCは、開設20周年を記念してキャンパスを拡張、
24時間滞在型の教育研究施設「未来創造塾」を作る。
500人以上が宿泊でき、学生が先輩や教員、卒業生、
海外も含めた研究者などと交流できる場。
プログラムに参加した学生は、この際の世話役になる想定。
2年前、来日した米国初の女性連邦最高裁判事
サンドラ・オコーナーさんと、学生が交流。
総合政策学部の古谷知之・准教授(37)(3期生)らが、
米英の有力大を視察。
代々木での「異文化体験プログラム」の試みは、
英オックスフォード大などを参考。
新年度から、新入生向けに本格プログラムを始め、
時期を見て、指導役も切り替えていく。
SFCには4年前まで、学業・生活両面で、先輩や教員が
新入生の面倒を見るアドバイザリーグループの仕組みがあった。
学内では、「教員と学生の関係が、以前ほど密でなくなった」という声。
先輩が後輩を先導するのは、慶応義塾の創設者、福沢諭吉が
唱えた「半学半教」の精神に通じるという自負も。
「後輩がどう育つかが、自分たちにかかっていると思うと、誇りに思える」
とプログラムに参加した学生の一人。
創造塾は、用地を確保したものの、
建物の建設費のめどは立っていない。
世界的な金融危機で、学校法人慶応義塾が巨額の赤字。
「それなら、予定地にテントを張って始めてもいい」、
国領二郎・総合政策学部長(50)。
その言葉から、新たな“塾”への熱意が伝わってくる。
慶大SFCは、1990年の開設以来、文理融合の学際的教育や
最先端の情報教育を進め、面接を重視したAO入試を
最初に導入するなど、大学改革の先頭を走ってきた。
卒業生は、学部だけで1万6000人超。
SFCを通して、これからの大学のカタチを考えたい。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100423-OYT8T00232.htm
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