(2010年4月24日 毎日新聞社)
シジミに多く含まれるアミノ酸の一種、オルニチン。
前回(4月10日)では、主に肝臓の働きを改善し、
疲労回復効果があることを紹介。
今回は、美容やスポーツの分野でも注目されつつある。
■美容で注目
オルニチンのサプリメント(健康補助食品)が、
日本の市場で目立ち始めたのは、6~7年前。
継続して使用する消費者の間から、「何となく肌や体の調子がいい」
といった声。
微生物による発酵で、オルニチンを商品化している
協和発酵バイオは、肌への影響について調べた。
ボランティアの成人14人を2群に分け、
一方にオルニチン(1日あたり800mg)、もう一方に偽サプリメント
(プラセボ)を3週間摂取、肌の体感効果を比較。
その結果、オルニチンの摂取グループはプラセボ群に比べ、
「顔のしわや肌荒れが改善した」、
「顔にはりが出てきた」などの効果を感じる度合いが
高いことが分かった。
どんなメカニズムなのか?
海外の研究報告によると、マウスにオルニチンを与えて
肌のコラーゲンを測定、コラーゲンの合成を促している。
オルニチンは、体内でコラーゲンの原料の一つである
アミノ酸(プロリン)に変わる。
コラーゲン遺伝子の発現が、オルニチンで増大することも発表。
研究報告から、協和発酵バイオ・ヘルスケア商品開発センターの
酒井康・学術研究企画室マネジャーは、
「オルニチンの摂取が、コラーゲンの原料を供給し、
細胞レベルで合成能を高めることで、コラーゲン合成を促すのでは」
コラーゲンは、肌の弾力性を保つたんぱく質の一種。
コラーゲンの合成に、オルニチンがどこまで関与しているのか、
今後の研究が楽しみ。
■スポーツでも活躍
米国では、オルニチンのサプリメントは筋肉を増強したり、
脂肪の燃焼を促す目的でも使われている。
こんな試験がある。
平均年齢41歳の男女17人を2群に分け、一方にオルニチン、
もう一方にプラセボを8日間摂取、自転車をこぐ運動負荷試験を実施後、
血液中のアンモニア濃度を比較。
その結果、オルニチンを摂取した群の方が、
運動後のアンモニア上昇を低く抑えられた。
自転車を一定時間全力でこぐ運動能力の比較でも、
摂取群の方が運動能力の低下が抑えられ、
オルニチンが持久力を高めていることを示唆。
アンモニアは、筋肉やエネルギーを使うと発生し、
疲労物質のひとつ。
激しい運動後、血液中のアンモニア濃度が高くなるが、
オルニチンの摂取でアンモニアが尿素に解毒、
疲労物質の生成が少なくなるのでは。
運動をしながらオルニチンを摂取すると、体脂肪率が減り、
筋肉が増える、という研究報告(米国のニュートリション・リサーチなど)。
日本国内では、オルニチンを加えた即席みそ汁や飲料、
コラーゲンとオルニチンを含む美容ドリンクなど、
さまざまな商品が登場。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/26/119435/
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