2010年5月3日月曜日

スポーツ立国 第1部 支援(4)脱・縦割りへ 「庁」新設構想

(読売 4月28日)

トップ選手の練習拠点である、
味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の使用を断られた
金メダリストがいる。

パラリンピック競泳日本代表として5大会に出場し、
金5個を含む21個のメダルを取った河合純一。

2008年北京五輪の前。
五輪選手が使わない期間、河合はNTCでの合宿を関係者に要望。
しかし、回答は「ノー」。

河合が、NTCの使用を断られた理由は、
「五輪を担当する文部科学省が作った施設だから、
厚生労働省が担当するパラリンピックの選手は使えない」

最終的には、特例で使用を認められたが、
今後について、両省の話し合いは進んでいない。
河合は訴える。
「特別扱いでなく、ずっと使えるようにしてほしい。
役所の都合で、選手が不利益を被るのはおかしい

河合の例は、各省でバラバラに行われてきた
国のスポーツ支援を象徴。
スポーツというと、学校体育を担う文科省が思い浮かぶ。
実際には、他の役所も深くかかわっている。

競技場などの整備と運営は国土交通省が担当、
用具などのメーカーは経済産業省が監督。
障害者スポーツは厚労省、
宝くじによるスポーツへの助成は総務省――

まさに縦割り行政の典型的な例。
現状では、一貫した政策が行われず、
予算の無駄遣いと言われても仕方がない。

3月に行われた「スポーツ立国戦略」の第1回ヒアリングで、
プロ野球・ヤクルト前監督の古田敦也が力説。
「スポーツ庁を作ったらいい。
行政の力が伝わりやすくなる」

さらに刺激的な発言が続く。
「文科省の隅で扱われているうちは、大きくならない。
スポーツの価値を高めるには、外に出て庁になるのが一番早い」

古田だけでない。
選手や競技団体もスポーツ基本法をもとに、
バラバラの政策をまとめる新しい役所の必要性を訴える。

過去にも、同じような例はある。
1968年、文部省(当時)から“独立”した文化庁。
各省庁の部局が統廃合されていた時期にもかかわらず、
芸術活動の振興や文化財の保護などの重要性が認められた。

当時、スポーツより少なかった文化芸術の今年度予算は
約1020億円、スポーツの約4・5倍に膨らんでいる。
国の支援を望むトップ選手が、スポーツ庁構想に
目を輝かせるのも無理はない。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100428_01.htm

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