2010年7月4日日曜日

海水浴、鎌倉で発祥か…明治の軍医が効能紹介

(2010年6月27日 読売新聞)

明治時代の医学者が、1874年(明治7年)に
海水浴の効能や方法、欧州での現況などを寄稿した記事を、
鎌倉市職員鈴木伸治さん(59)が発見。

鎌倉市の七里ヶ浜海岸で、実験的に海水浴した上で書かれ、
鈴木さんは、「鎌倉こそ海水浴発祥の地では」。

記事を寄稿したのは、適塾で知られる緒方洪庵の次男、
陸軍軍医監を務めた緒方惟準(これよし、1843~1909年)他1人。
寄稿は、明治期の新聞「朝野新聞」の前身「公文通誌」の
1874年8月9日付に掲載、東大がマイクロフィルムで保存。

湘南の郷土史を趣味で研究している鈴木さんは数年前、
読売新聞のCD-ROMで検索、惟準が大磯の海水浴場開設の
発起人にあてた手紙を引用した1886年の記事に気づいた。

手紙に、「明治7年に相州七里ヶ浜で海水浴を行い、
西洋海水浴法と効能を朝野新聞に寄稿。
以来、海水浴場が各地に設けられるようになった」
とあったのをヒントに、寄稿に行き着いた。

寄稿は「海水浴」と題し、「海水だけでなく、波動や新鮮な空気、
遊泳などの運動によって効果を現す」、
慢性皮膚病、神経病など多くの疾患に効能がある。
「時期は夏7、8月が良く、冬は健康に害がある」などと書いている。

鈴木さんが注目したのは、「海水浴の効能を知る人はとても少ない。
私たちは論文を書くことはもちろん、これを手始めに
海水浴を広めることにした。
(中略)海水浴場を設け、病気を治し、健康を守ることこそ
私たちの願いだ」と述べている点。

明治10年代、海水浴場が設けられた大磯町や倉敷市などが
海水浴発祥の地とされる場合が多いが、
鈴木さんは、「全国に海水浴が広がった発端という
惟準の後の記述から見ても、鎌倉・七里ヶ浜が
発祥地の一つに名乗りを上げる資格はある」

海水浴の歴史に詳しい上田卓爾・星稜女子短大教授(観光史)
によると、1871年(明治4年)に横浜市金沢区で、
18歳の女性が医師を伴い、海水浴をしたことが
外国人の著書に紹介。

上田教授は、「発祥の地の考え方はいろいろあるが、
(寄稿記事は)海水浴の方法に関する最古の記述といっていい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/28/122162/

0 件のコメント: