(読売 6月25日)
ホームに降り立ち駅舎の看板を眺めると、駅名に並んで
「村立図書館」の文字が目に飛び込んできた。
富山県舟橋村の富山地方鉄道・越中舟橋駅。
改札を抜けると、開放的な図書館の玄関が迎え、
中では親子が至るところで絵本を広げていた。
1998年、オープンした駅一体型の「エキナカ図書館」
鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積約1500平方メートル、
蔵書数は約6万4000冊。
面積3・47平方キロ・メートルと、全国で最も小さい自治体の
シンボルになっている。
駅に加え、広大な駐車場を備える利便性から、
人口3022人の村に、利用登録者は約1万5000人。
通学途中の中高生など、村民以外の利用が多いためで、
昨年度の貸し出し冊数は約12万6000冊、
この規模の図書館としては突出して多い。
1階が子ども向け、2階が一般向けのフロア。
子ども向けフロアには、子どもの絵本や漫画、DVDなど、
母親向けに料理や家事などの実用書も並べてある。
ボランティアの手も借り、子ども向け読み聞かせ会も
週1回開かれている。
「子どもが自由に本を楽しめる雰囲気を作りたかった」、
設立準備から携わる同図書館司書係長の高野良子さん(56)。
7歳、3歳の娘2人と来ていた富山市の主婦稲垣久美さん(36)は、
「本が子どもの目の高さにあり、手に取りやすい。
多少騒いでも、気にならないところがいい」
計画当時、村職員だった金森勝雄村長(66)は、
「日常生活の中の文化的シンボルが欲しかった。
児童保育にも役立つと考えた」
予算10億円の村で、総工費6億円の図書館を建設することに、
当初は村民の反発もあった。
今では、住宅情報誌に「図書館の街」として取り上げられる。
村の人口は、この10年間で約1・5倍増。
高野さんは、「図書館が村内外の人の交流拠点になっており、
村の活性化に一役買っている」と自信を深める。
読み聞かせ会では、村職員も読み手となる。
5月、自ら読み手となった金森村長は、
「村全体で子どもを育てたいという精神がある。
職員が子どもや地域にとけこむのに一番いい場所」
同様の「エキナカ図書館」は、隣の立山町にも来年度、
開館する予定。
小さな村のユニークな取り組みは、子どもと社会とをつなぐ
「心の交差点」として評価が高まっている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100625-OYT8T00255.htm
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