(2010年6月30日 Japan Medicine(じほう))
神戸市で開かれた第52回日本老年医学会学術集会で、
「高齢者医療の行方と老年医学会の役割」をテーマに、
シンポジウムが開かれた。
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、
高齢者の患者が急性期病院で臓器別専門医の治療を受けた後、
低栄養や脱水などの身体環境を悪化させているケースが。
医学教育の中で、高齢者の特性に配慮する老年医学への
理解をさらに徹底するように要望。
武久会長は、「療養病床でも重症患者を受け入れている
ケースがあり、ここ3年の間に医療区分1が減り、
より重症な医療区分2、3が確実に増えている」
急性期病院のすべての診療科で、治療を終えた患者を
受け入れる慢性期病院は、「結局、すべての科目を
知らなければならない」との見方も示し、
慢性期病院全体がレベルアップを図る必要性を強調。
日慢協で慢性期医療認定講座をつくり、慢性期医療のノウハウに
基づくサービス提供に向けて、研鑽を積んでいることをアピール。
急性期医療の問題点について、特に多剤投与が依然多いことを
あらためて指摘。
18種類の薬剤が投与されていた実例を紹介、
20種類以上のケースもあると問題視。
日慢協がモデル事業として、3次救急病院で治療する
必要性が低い軽症患者らを、慢性期病院が受け入れる
緊急連携ネットワークの構築に取り組んでいることも紹介。
大阪におけるモデル事業では、3次救急病院の在院日数が
減少する一方、新規入院患者が増えたというデータも。
厚生労働省が現在行っている医療施設と介護施設の
横断調査の結果に注目する考えも強調、
「結果次第では、高齢者を支える医療・介護の在り方が
大胆に変わる可能性がある」
調査対象の施設は、7月7日までに回答することが求められ、
武久会長は「この結果が出るのは8月末」と見通し。
シンポジウムでは、日本医師会の三上裕司常任理事が、
「生活を支える医療を目指して」と題した日医介護保険委員会の
答申内容を解説。
日医は、「在宅医療支援のための医師研修会」を開催する際、
テキスト作成で日本老年医学会などの協力を得たことも紹介。
全国老人保健施設協会の川合秀治会長は、
自公政権時代の介護職員処遇改善交付金による
介護従事者の処遇改善策について、職種による取り扱いの違いを
施設内で生じさせたとあらためて批判。
老健施設が、一定の裁量権を確保できる施策を求めた。
全国在宅療養支援診療所連絡会の太田秀樹事務局長は、
医療サービスの在り方は、治療重視の疾病モデルから
生活重視の生活モデルに移るパラダイムシフトが起こっている。
在宅医療の重要性が増していることに理解を求めた。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/30/122279/
0 件のコメント:
コメントを投稿