(読売 6月26日)
「じゃ、すべての都道府県名を2時間で覚えちゃおう」
愛知県西尾市の同市立三和小学校で行われた
5年生の社会科の授業。
児童文学評論家の赤木かん子さんが、児童74人に
大きな声で語りかけた。
赤木さんは、子どもの頃に読んで題名を忘れた本を探し出す
「本の探偵」として知られ、子ども向け図書室のアドバイザー。
「え~、そんなのできるかなあ」
首をかしげる子どもたちに、赤木さんが配ったのは、
県境のみが書かれた日本の白地図、シール、
近くの図書館から借りてきた地理の本。
シールは1枚親指ほどの大きさで、47枚1セット。
都道府県と同じ数。
ハイビスカスに納豆、平和祈念像……。
1枚1枚には、そんな各県の特徴がコミカルなイラストで
描かれているが、県名が書かれているのは3分の1だけ。
子どもたちは、慣れない手つきで地理の本をめくって
各県の特徴を調べ、所在地にあうシールを張っていった。
子どもたちの反応はいい。
藤田芙柚伽さん(10)は、「シールを張るのは面白い。
どんどん頭に入るから不思議」とうれしそう。
「調べ学習の基礎を身につけるための授業。
調べることの楽しさを知ることが、図書館を楽しく利用することに
つながるのです」と赤木さん。
図書室改装へのアドバイスと並行し、出前授業を全国で実施。
赤木さんを招いてこの授業を企画したのは、
同市立図書館の山本紀英子館長。
「今後、市内のほかの小学校でもこうした授業をやれれば」と期待。
同小の内木純子教諭は、「人数分の参考資料をそろえるなど、
図書館の協力なしではできない試み。ありがたい」
同図書館は昨年、赤木さんのアドバイスをもとに、
1階の児童コーナーを改装。
目玉は、本の分類を子ども目線に切り替えたこと。
本の背表紙に、顕微鏡(理科)、おばけ(ホラー)など
イラストのシールを張り、一目でジャンルがわかるよう工夫。
訪れた小学4年の加藤珠基さん(9)は、
「改装する前は、並んでいる本を見ても、どんな内容かわかりづらかった。
今は、イラストでとってもわかりやすい。
もっと図書館に来たいです」
子どもが変わり、子どもに合わせて図書館も変わる。
ちょっとした工夫とアイデアが、子どもたちを図書館に呼び込ぶ
決め手になる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100626-OYT8T00285.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿