(毎日 3月21日)
午後7時前。
東京・神田神保町のビル1階に入居するランナー用のシャワー、
ロッカー施設「ランナーズステーション」(通称ランステ)に、
会社帰りの20~40歳代の男女が次々と訪れる。
夜遅くまで、ランナーであふれる皇居外周から約500メートル。
更衣室にある男女各60扉のロッカーは、たちまち埋まる人気。
かつて皇居を走るランナーの多くは、銭湯を拠点。
月刊誌「ランナーズ」などが、07年に始まった東京マラソン後の
ランナーの増加を見込んで、ランステをオープンしたのは同年10月。
当初は月間2500人程度だった利用者は、その後増え続け、
現在は2倍近くに。女性は5割弱を占め、初心者も多い。
運営会社の浅川美幸専務は、
「女性には、明るく安全で設備が整っている条件が先決。
銭湯に抵抗があって、ナイトランに二の足を踏んでいた層もあった」
利用料は700円。月4回利用できる会員が2000円。
閉店する午後10時半までにぎわう店内には、ランニング用品、
サプリメントなど新商品が置かれ、企業には絶好のプロモーションの場。
勤め帰りに走るナイトランは、東京から全国に広がりつつある。
アディダスジャパンは、「ナイトランナーズ」と題したイベントを
07年6月に東京で開始。
月2回、同社店舗を拠点に夜の街を走る趣向で、
現在では横浜、大阪、名古屋に拡大。
会員制の参加者の7割が女性で、大阪の募集では100人の定員に
約4倍の応募。
アシックスも東京、大阪で女性限定のナイトランイベントを実施し、好評。
歩道の広さや明るさなど、夜に走る環境が整っているケースは少ない。
初心者などを対象にコーチを務める大阪教育大非常勤講師の佐藤光子さんは
「多くのスポーツ競技には特定の施設があるが、
ランニングのための施設は市街地にはほとんどない」
佐藤さんは、「例えば都市型公園を少し明るくして、クラブハウスを置けば
ランナーの利用者は増える。走る人のニーズを満たすだけでなく、
歩行者にとっての安全も満たす方向性で議論を重ね、
豊かなスポーツ文化につながれば」と期待。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/
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