2009年3月30日月曜日

蘭フィリップスのホームヘルスケアソリューション部門、ドナルド・スペンスCEO 「患者の遠隔管理事業を拡大」

(日経 3月16日)

日本をはじめ高齢化が進む先進国では、国民医療費が増大傾向。
各国政府は医療費抑制を進め、日本でも入院ベッド数を減らす政策が続く。
患者が退院し、一定の医療を在宅で受けながら生活できる
仕組みの構築が不可欠。

米在宅医療大手のレスピロニクスは、日本で酸素濃縮器を患者に提供、
米国で患者の容体を遠隔管理するシステムも手がける。
昨年3月、オランダのフィリップスに買収され、
両社の製品を共同で提供するサービスを米国で始めた。
蘭フィリップスのホームヘルスケアソリューション部門の
ドナルド・スペンス最高経営責任者(CEO)に今後の戦略を聞いた。

——世界的な不況が事業にどのような影響を及ぼしているか?

「経済情勢の悪化で、各国政府は医療費の抑制を検討し始めている。
在宅医療サービスの診療報酬を引き下げる政府も。
他の業界に比べ、ヘルスケア業界は堅調に推移。
世界的な高齢化の進展で、医療の需要が増えるのは間違いない。
政府も、我々が手がける在宅医療サービスを、
医療費抑制のための解決策と考え始めている。
今後も、市場は堅調に拡大する」

「当社の2008年10-12月期売上高は、前年同期比12%増。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった
呼吸器疾患の患者に提供する酸素濃縮器などの売り上げが好調。
世界各国で、自らが疾患にかかっていることを気付かない潜在患者は多い。
今後は、こうした人々への啓蒙活動を進め、製品の販売機会拡大を目指す」

——日本市場でどのような事業に力を注ぐか?

「日本政府は、在宅酸素療法の診療報酬を引き下げ、
収益にはマイナスに影響。
政府は、病床数の削減も進めている。
慢性疾患の患者を、入院ではなく家庭で療養しようという需要が増えると期待。
日本では、子会社のフジ・レスピロニクスが事業を手がけてきた。
売上高は、2ケタ成長を続けている。
機器の販売だけではなく、病院にレンタルして保守サービスを手がける
プロバイダー事業も堅調。
成長の余地はまだあり、今後は新サービスの投入も含めて事業拡大を検討」

「その1つとして期待しているのは、現在米国で手がけている
遠隔モニタリングサービス。
患者の容体を自宅で随時把握し、データを集積するサービス。
日本を始め、世界各国に事業を拡大していきたい。
日本では、遠隔医療に対する規制があるが、
政府に対してサービス導入が医療費抑制に寄与するという価値を
立証しすることで、できるだけ早期にサービスを導入できるよう努めたい」

——フィリップスによる買収から1年が経過。
日本では、統合の相乗効果をどのように追求していくか?

「現在、両社は各国の現地法人ごとに統合作業を進めている。
日本では、フィリップスエレクトロニクスジャパンとフジ・レスピロニクスが
共同事業展開に向けて検討。
フィリップスの医療事業は、08年で76億ユーロ(約9300億円)と前期比で15%増。
医療機器の世界大手というブランド力も、効果的に利用していきたい」

「フィリップスの製品群には、生体情報モニターなどレスピロニクスの製品群を
補完するものがあり、両社共同で拡販にも努めたい。
コスト削減にもつながり、成長のスピードが高まる。
日本法人の統合時期など詳細は未定」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090316.html

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