2009年4月1日水曜日

図鑑『岩手の海産貝類』 著者・戸羽氏が関係機関に寄贈

(東海新報 3月26日)

元陸前高田市海と貝のミュージアム館長で、日本貝類学会員の
戸羽親雄氏(77)=小友町=が、県内の海産貝類をまとめた
図鑑『岩手の海産貝類』を出版。

著書では、50年にわたる研究生活で培った経験と知識を生かし、
602種の貝類を紹介。
「市民の皆さんにも役立ててほしい」と、市内の小中学校をはじめとした
教育機関に25冊を寄贈。

戸羽氏は、昭和26年に広田水産高校を卒業、
岩手大学学芸学部甲1類で理科、植物分類学を専攻。
教員や校長を務め、平成6年に開館した海と貝のミュージアムの
初代館長に就任、施設の発展に努めてきた。

貝類研究は、宮古水産高に勤務していた50年前、
陸前高田出身の貝類学者・千葉蘭児氏の命により着手。
千葉氏の指導を受けながら、国内外で収集や調査を行い、
昭和43年チカオヤゲンバイ、44年キタノモロハバイという新種も発見。

教員やミュージアム運営の合間を縫って続けてきた、県内の海産貝類研究。
館長退職後は執筆作業に集中し、ようやく発刊にこぎ着けた。
『岩手の海産貝類』はA4判、135㌻。
県内で発見された貝類のうち、標本が現存する602種について
カラー写真付きで大きさや特徴、分布などを解説。

貝類の各部名称や三陸の貝類と採集、貝類標本の作製といった、
貝類研究の基本的な知識も掲載。
岩手の貝類学者コーナーでは、鳥羽源藏氏、千葉氏の功績にも触れている。

市役所での寄贈式には、戸羽氏をはじめ、中里長門市長、伊藤壽教育長、
菊池満夫教育次長が出席。
戸羽氏は、「蘭児先生に、岩手の貝をまとめろと言われて50年。
やっと出来上がったので、市内の皆さんで利用してください」
中里市長らに図鑑を手渡した。
中里市長は、「人生の集大成ともいえる図鑑。寄贈に心から感謝したい。
子どもたちも喜ぶと思います」

図鑑は、市内の18小中学校、図書館、博物館、ミュージアムに贈られる。
戸羽氏は、「生物関係の先生や研究者に読んでほしい。
超深海にすむものやミリ単位の小さな貝についての研究は、
後継者に託していきたい」

同書は1000部発行、135冊を関係者や研究機関などに寄贈。
残部は、ミュージアムや道の駅(高田松原・タピック45)、
市内の書店などで販売する予定。

http://www.tohkaishimpo.com/

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