2009年5月12日火曜日

検証 橋下改革(2)放課後 勉強の習慣づけ

(読売 5月6日)

家庭で勉強する習慣をつけるため、放課後の学校が活用。

3月上旬の午後。大阪府田尻町立小学校の教室では、
1、2年生が一緒に、算数のプリントに取り組んでいた。
若い男性講師が、一人の女子児童の机の前でひざまずく。
「そうそう、できたやん」。
悩みながらも問題を解いた児童のプリントに、講師は笑顔で花丸をつけた。

小中学校で放課後に、子どもたちの自習を教員らがサポートする
府教育委員会の「おおさか・まなび舎」事業
すでに実施されていた自学自習のプログラムを、
橋下知事の就任後に一部修正し、昨年9月に再スタート。
今年度、政令市と中核市を除く小学校の半数以上、
中学校は政令市を除く8割近くで実施を予定。
2010年度には全小中学校への拡大を目指す。

週2日、1回2時間で、参加は自由。参加費は無料。
授業形式ではなく、児童が自分の課題や学力に合わせて
プリントを選んで解く。
教員と一緒に、大学生などの「学習支援アドバイザー」が、
机を回って個別指導する。

熱心にプリントを解く子どもたちの姿に、奥山昌一教諭(54)は、
「理解が進んでいるのがひしひしとわかる。授業でも意欲が出ている」
アドバイザーで小学校教員を目指す関本真実さん(23)は、
「つまずいていた子どもたちが成長していくのがうれしい」

「まなび舎」のそもそもの狙いは、
子どもたちが家庭で勉強する習慣を身に着けるようにすること。

2008年度の全国学力テストの生活習慣調査では、
学力のみならず、家庭での学習時間でも、
大阪府は全国平均より低い実態が明らかに。
平日に家庭で30分以上学習している子どもの割合は、
小学校で76・1%、中学校で78・1%と、全国平均を約6~4ポイント下回った。

府教委では、放課後学習に加え、「家庭学習の手引き」と題した
パンフレットを作製。
小学校の低、中、高学年と中学校に分け、時間の目安や、
漢字練習や百ます計算など取り組む内容を記したもので、
全児童・生徒に配り、各家庭に協力を求めた。

学校でついた習慣を家庭での学習へとつなげるのは、そう簡単ではない。

田尻町立小では、学力に問題のある子どもについて、
保護者に呼びかけたり、友人に誘ってもらったりして
放課後学習に参加するよう促し、
「宿題をきちんとやる子が増えてきた」(同小)。

中には、勉強を見る親が夜間、仕事や友達づきあいなどで
不在がちなため、家に帰るとゲームをしたりテレビを見たりして、
学習が難しい児童もいる。

「放課後学習は、自学自習へのステップ。
最終的には、家で自ら学べる子を育てたい」
放課後学習を自宅での学習につなげるべく、これからも模索は続く。

◆学習支援アドバイザー

「おおさか・まなび舎」事業で、放課後に教室で自習する子どもたちを、
教員と一緒に個別指導する。
教員免許は不要だが、教員を目指す学生や元教員、
塾講師らの登録も多い。
謝礼は交通費を含めて2時間で1500円と少なく、ボランティアに近い。
謝礼は、府と市町村が半分ずつ補助。
謝礼を含めた「まなび舎」事業の09年度の総事業費は、約8700万円。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090506-OYT8T00282.htm

0 件のコメント: