(読売 5月6日)
家庭で勉強する習慣をつけるため、放課後の学校が活用。
3月上旬の午後。大阪府田尻町立小学校の教室では、
1、2年生が一緒に、算数のプリントに取り組んでいた。
若い男性講師が、一人の女子児童の机の前でひざまずく。
「そうそう、できたやん」。
悩みながらも問題を解いた児童のプリントに、講師は笑顔で花丸をつけた。
小中学校で放課後に、子どもたちの自習を教員らがサポートする
府教育委員会の「おおさか・まなび舎」事業。
すでに実施されていた自学自習のプログラムを、
橋下知事の就任後に一部修正し、昨年9月に再スタート。
今年度、政令市と中核市を除く小学校の半数以上、
中学校は政令市を除く8割近くで実施を予定。
2010年度には全小中学校への拡大を目指す。
週2日、1回2時間で、参加は自由。参加費は無料。
授業形式ではなく、児童が自分の課題や学力に合わせて
プリントを選んで解く。
教員と一緒に、大学生などの「学習支援アドバイザー」が、
机を回って個別指導する。
熱心にプリントを解く子どもたちの姿に、奥山昌一教諭(54)は、
「理解が進んでいるのがひしひしとわかる。授業でも意欲が出ている」
アドバイザーで小学校教員を目指す関本真実さん(23)は、
「つまずいていた子どもたちが成長していくのがうれしい」
「まなび舎」のそもそもの狙いは、
子どもたちが家庭で勉強する習慣を身に着けるようにすること。
2008年度の全国学力テストの生活習慣調査では、
学力のみならず、家庭での学習時間でも、
大阪府は全国平均より低い実態が明らかに。
平日に家庭で30分以上学習している子どもの割合は、
小学校で76・1%、中学校で78・1%と、全国平均を約6~4ポイント下回った。
府教委では、放課後学習に加え、「家庭学習の手引き」と題した
パンフレットを作製。
小学校の低、中、高学年と中学校に分け、時間の目安や、
漢字練習や百ます計算など取り組む内容を記したもので、
全児童・生徒に配り、各家庭に協力を求めた。
学校でついた習慣を家庭での学習へとつなげるのは、そう簡単ではない。
田尻町立小では、学力に問題のある子どもについて、
保護者に呼びかけたり、友人に誘ってもらったりして
放課後学習に参加するよう促し、
「宿題をきちんとやる子が増えてきた」(同小)。
中には、勉強を見る親が夜間、仕事や友達づきあいなどで
不在がちなため、家に帰るとゲームをしたりテレビを見たりして、
学習が難しい児童もいる。
「放課後学習は、自学自習へのステップ。
最終的には、家で自ら学べる子を育てたい」
放課後学習を自宅での学習につなげるべく、これからも模索は続く。
◆学習支援アドバイザー
「おおさか・まなび舎」事業で、放課後に教室で自習する子どもたちを、
教員と一緒に個別指導する。
教員免許は不要だが、教員を目指す学生や元教員、
塾講師らの登録も多い。
謝礼は交通費を含めて2時間で1500円と少なく、ボランティアに近い。
謝礼は、府と市町村が半分ずつ補助。
謝礼を含めた「まなび舎」事業の09年度の総事業費は、約8700万円。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090506-OYT8T00282.htm
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