(毎日 5月6日)
肥満の人の割合が全世界で欧米並みに高まると、
10億人当たりの温室効果ガス排出量は、CO2換算で
最大10億トン増えるとの試算を、
英ロンドン大衛生熱帯医学大学院がまとめた。
食料生産に必要なエネルギーや、車の燃料消費の増加が原因。
04年の世界の人為起源による温室効果ガス排出量は、
CO2換算で約490億トン。
肥満の増加は、温暖化を加速するといえそう。
英の疫学専門誌電子版に発表。
体重が増えると体の維持や活動のため、より多く食べねばならず、
食料生産の需要が高まると考えた。
車1台に同じ人数が乗っても、燃費が悪化するほか、
徒歩が体の負担になるため車の利用が増えると想定。
BMI(体格指数)30以上の肥満人口が、3・5%だった英国の
70年代の「適正体重社会」と、2010年に予測されている
肥満人口40%の「太り過ぎ社会」の温室効果ガス排出量の差を試算。
その結果、太り過ぎ社会では適正体重社会より食料生産に必要な
エネルギーが10億人当たり19%増え、
排出量も年2・7億~8・1億トン増加した。
車では、燃費の悪化と利用頻度が上がり、排出量は年1・7億トン増加。
太り過ぎでの増加分は、4・4億~9・8億トンと推計。
06年の日本人男性の平均BMIは23・39、女性は22・47と、
まだスリムだが、米国では3人に1人、南太平洋の島ナウルで6割が
BMI30以上と推定、各国で太り過ぎ社会が到来。
研究チームのフィル・エドワーズ博士は、
「健康体でいることが温暖化抑制にもなる。
自転車利用の促進、都市部への自動車乗り入れへの課金、
野菜の摂取など、肥満予防と温暖化対策の両方に効果のある
施策を推進すべきだ」と指摘。
◇栗山進一・東北大准教授(公衆衛生学)の話
BMI30以上の人が4割を占める社会は、世界的には予想。
仮定に基づいた研究だが、健康と温暖化の関係を考える上で意義がある。
http://mainichi.jp/select/science/news/20090506ddm002040006000c.html
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