(岩手日報 5月11日)
国内初となる地域医療学の教科書で、
藤沢町民病院の佐藤元美院長と岩手看護短大の鈴木るり子教授が
執筆を担当。
県内の現場で、コツコツと実績を積み重ねてきた二人が、
全国の医学生に地域医療の在り方や人材育成の現状を伝える。
医療現場に携わっていない読者にも、分かりやすい内容。
編集も担当した佐藤院長は、「専門用語を極力使わず、
地域医療の果たす役割や背景を理解してもらえるよう考慮した」
教科書は、「地域医療テキスト」(医学書院)。
B5判で206ページ。3990円。全国の書店などで発売。
佐藤院長が執筆したのは、「地域医療システム論」の中の
「市町村の事例」。
藤沢町で、県立病院が廃止に追い込まれた歴史から始まり、
保健医療福祉が一体となった「藤沢方式」を紹介、
町民病院の一日を時系列で追った。
病院スタッフが町内に出向き、住民と語り合う「地域ナイトスクール」は、
崩壊の危機にある地域医療を考える上で、
医療関係者と住民がどうあるべきかを示唆。
自治体病院の経営についても触れ、
「病院運営は、営利を目的するものではない。
しかし、経営がうまくいかなければ、必要な医療も提供できなくなる」、
高額医療機器導入の際の考え方も記した。
鈴木教授は、「地域医療を支える人材」の「看護職」について執筆。
「地域医療を支えるのは保健師である、という点をもっと厚みを
もたせたかったが、まずは基礎的なポイントを並べた」
地域医療学に関しては、各大学が個別に教材を用意し、
見学や実習などを通して対応しているが、包括的なテキストはなく、
自治医大地域医療学センターが中心となり、約一年がかりでまとめた。
佐藤院長は、「地域医療を守るには、他人に頼ってばかりではだめ。
藤沢町は苦労しながら、今のシステムを築き上げた。
教科書が全国の医療関係者、地域医療を考える住民の方々の
参考になれば何よりです」
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090511_15
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