2009年5月15日金曜日

検証 橋下改革(4)勉強嫌い DSでなくす

(読売 5月12日)

勉強嫌いをなくそうと、様々な手法を試みている。

「ゲームが好きな人は手を挙げて」
大阪府池田市立細河中学校で行われた1年生の国語の授業。
携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を全員に配った後、
山際博教頭(49)が尋ねると、生徒たちが一斉に手を挙げた。
「漢字の勉強には、使い慣れている物で勉強する方法もある。
10級から1級まである。挑戦してみよう」

生徒たちは5分間、漢字検定ソフトを使い、タッチペンで画面に
漢字や読み仮名を黙々と書き込んだ。
尾玉純一朗君(12)は、「普段はゲームをしているけど、
勉強でもすごく面白かった。どんどん級を上げたい」

橋下徹府知事が昨年10月に打ち出した緊急対策には、
目玉の一つとして、DS学習の調査研究が盛り込まれた。

2009年1月から10年度末まで、府内の小中学校各10校に、
DSを40台ずつ貸し出し、計算力や覚えた漢字数の変化などを
調べようというもの。

細河中は、DS学習の研究校の一つ。
「表現の時間」という独自の国語授業(週1回)の毎回冒頭10分を、
DS学習に充てる。
山際教頭は、「長時間では飽きるだろうし、これだけで国語力が
上がるものではない」とした上で、
「紙と鉛筆で学ぶことが嫌になった生徒も、『DSなら面白い』という
感覚で勉強に入れるのでは」

DSを放課後学習に活用している貝塚市立第二中学校の
山口均教諭(48)も、「参加者が多くても、DSなら生徒に合わせて
問題を出してくれる」と利点。

勉強嫌いをなくすには、その原因を探るのが先決――。
そんな発想で行われているのが、府独自の「つまずき調査」。
教育改革を担う小河勝・府教育委員(64)の
大阪市立中学校の教員時代の実践から生まれた。

中学1、2年生を対象に、小学校の各学年で習う漢字の書き取りと
計算問題を解かせる。
生徒の名前と各問題を縦横に並べた一覧表を作り、
できなかったら塗りつぶし、どこでつまずいたかが一目で分かる。
昨年度は2回行われ、中学校では291校中99校が実施。

岸和田市立春木中学校で調査を担当した南川留美子教諭(50)によると、
3けたのかけ算の正答率が割り算より低く、意外な発見。
「今まではデータがなく、教師の感覚に頼っていた。
つまずきがわかることで、授業に生かせる」

昨年の全国学力テストに合わせて実施されたアンケートによると、
大阪の公立中学生は、国語については19・3%、数学は25・2%が、
好きではないと答えた。共に全国平均より4ポイント前後高い。

府教委小中学校課の箸尾谷知也参事(52)は、
「分かる、できる、もっと勉強したい、というサイクルを作りたい」
悪循環を断ち切るために、必死の取り組みが続く。

◆DS学習

タッチペンで手書き入力ができる携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を
使った学習方法。
2007年度、京都府八幡市の市立中学校で試行、
英単語の習得に効果があることが判明し注目。
文部科学省も、同年度から3年間の委託研究を進めるなど
教育界の流行になり、橋下教育改革では、大阪府全体で取り込んだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090512-OYT8T00281.htm

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