(毎日 5月4日)
カラー複写機・複合機の国内シェアトップを誇る富士ゼロックス。
タイと中国を拠点として、東アジアとオセアニアの地域全体で
国境をまたいで機器を回収し、再利用する国際資源循環システムを
昨年1月に構築、今年2月には顧客への環境戦略面での提言にも
今後注力する方針を打ち出した。
山本忠人社長に今後の抱負を聞いた。
--どうして国際資源循環システムを構築したか?
◆00年、日本で使用済み複写機の資源を、
ほぼ100%再利用するシステムを構築したのを機に、
海外にも活動を広げようと04年末に始めた。
回収済みの複写機を原料に戻し、再活用する拠点をタイに設け、
東南アジアやオセアニアなど9つの国・地域から国境をまたいで、
1カ所に集めることで機器の量を確保し、効率良く再資源化を行う狙い。
08年1月、中国・蘇州にも拠点を設け、
アジア東部とオセアニア全体での体制が完成。
--これまでの苦労と今後の課題は?
◆国境をまたいで中古機器をやりとりするため、
最初は各国政府からは戸惑う声があるが、狙いと意義を粘り強く説明し、
何とか理解を得てシステムづくりにこぎ着けた。
国際的な枠組みで、リサイクルの効率を高めるという、
従来にない枠組みを示すことができたと自負。
今後は、地域での環境意識を一層高め、回収率を向上させたい。
--日本での取り組みの進展は?
◆日本では、95年から部品自体の再利用に取り組む。
設計、生産からみれば、余計なことをするように映るため、
葛藤もあったが、長期的には顧客のためになるとの思いで実践。
当初は、新品を使うより費用がかかったが、
07年度には部品代を4億7000万円減らすのに貢献。
節約分は、環境面の研究開発投資に回し、良い循環を生み出している。
--2月には温室効果ガスの削減目標を新たに定めた。
◆生産、物流、顧客の使用、回収、再資源化までの全体で発生する
二酸化炭素を、20年度に05年度の7割に抑える。
複写機1台当たりの消費電力を80%、
製造時の二酸化炭素排出量を75%削減。
事務機器の無駄のない配置や、印刷を効率化し紙の使用量を
減らすことなどを提案し、環境負荷を減らすお手伝いをしたい。
--今後の抱負は?
◆今までの取り組みが大変だったのは確かだが、
それでも普通のことをやってきたに過ぎない。
「100年に1度の経済危機」だが、地球環境はもっと大きな危機に直面。
研究開発投資をより一層増やすなど、環境への取り組みをさらに加速。
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◇やまもと・ただひと
山梨大工卒、68年富士ゼロックス入社。常務、常務執行役員、
技術開発や生産管理を統括する専務執行役員を経て、
07年6月から現職。神奈川県出身。63歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/05/04/20090504ddm008020024000c.html
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