(読売 5月13日)
習熟度に応じて、クラスを分ける取り組みは全国で行われている。
大阪の特徴は何か?
「interesting」、「carefully」。
大阪府太子町の町立中学校の多目的教室から、
英単語を繰り返し発音する声が響く。
基礎学力を定着させるための「ベーシックコース」を
受講しているのは2年生12人。
比較級の復習が始まると、奥田裕香教諭(43)は、
前2列に詰めて座る生徒に質問を投げかけた。
同校では2008年の2学期から、2年生の英語の一部で
習熟度別指導を取り入れている。
奥田教諭は、「一斉授業では、時間を持て余す生徒や
理解が遅れる生徒が出てくる。指導を分けたほうが緊張感を保てる」
普通教室に残った「チャレンジコース」の生徒20人は、
教科書の精読を終えた後、プリントの問題に取り組んだ。
指導する蟹山まどか・非常勤講師(24)は、
「生徒の弱点を洗い出し、重点的に説明できる」と手応えを語った。
生徒の多くも好意的に受け止めている。
ベーシックで学ぶ男子生徒は、「少人数なので手が挙げやすい。
授業に参加している感じがするし、成績がちょっと上がった」
チャレンジの女子生徒は、「教科書以外の範囲も学ぶことができる」
習熟度別指導は、府内の小学校の94%、中学校の80%で
何らかの形ですでに導入。
府教委は、実施校を100%に引き上げ、小学3~6年の国語と算数、
中学の全学年の国語、数学、英語で導入する方針。
学力向上支援員として非常勤講師を数百人配置し、
11年度までに実施教科の授業時間数に占める比率を、
現行の10%から30%に引き上げる。
新しい指導法に取り組む場合、一部の学校でスタートして
効果を検証するのが一般的だが、府教委は「より成果を出せる」と
100%実施にこだわった。
「できない子を救うだけでなく、できる子を伸ばすことも重要」として、
習熟度別指導の拡充を強く主張してきた橋下徹知事の意向が反映。
100%実施を掲げる大阪方式には、異論も。
府教育委員から、「まずモデル校を指定してみては」という声。
文部科学省の担当者は、「指導法は、学校の裁量に任せるのが通常の方法。
都道府県主導で、習熟度別をこれほど拡大する例はない」
学校現場には戸惑いもある。
ある小学校では、4人ずつ班を作り、児童同士が協力して課題に挑む
「学び合い」の手法を取り入れている。
校長は、「習熟度に違いがあるからこそ成立する方法。
理念が異なる習熟度別指導と、両立できるかどうか」
こうした声に対し、府教委は、「状況に応じ、習熟度別と従来の指導を
使い分ければ、成果は上がる」(小中学校課)と強調。
成績上位層も下位層も、ともに引き上げられるのか。模索は続く。
◆習熟度別指導
教員の定数に上乗せして配置する国の加配教員を活用するなどして
全国に広まっている。
07年度は全国の小学校の85%、中学校の73・9%で実施。
数学や英語など個人差が付きやすい教科を中心に導入、
クラス分けは児童生徒や保護者の希望で決められるケースが多い。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090513-OYT8T00277.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿