(2009年11月6日 共同通信社)
中国は、生活水準の向上や一人っ子政策の影響で、
急速に高齢化が進んでいる。
政府の社会保障政策は、医療や失業が優先で、
高齢者対策まで十分に手が回らず、経済発展とともに
伝統的な家族観が崩れ始めたことも事態を深刻化。
「中国は、『未富先老』(豊かになる前に高齢化社会になる)で、
先進国になってから高齢化した日本とは事情が違う」
日中韓首脳夕食会。
胡錦濤国家主席が、鳩山由紀夫首相らに語った話題は
高齢化問題に集中、指導部が問題を重視している。
65歳以上の人口は1億956万人(2008年)、
総人口の8・3%を占め、国連基準で高齢化社会にある。
先進国は、1人当たり国内総生産(GDP)5千~1万ドル
(約45万~約90万円)レベルで高齢化社会入りするが、
中国が高齢化に突入した00年の1人当たりGDPは
900ドルに満たなかった。
人口は、30年代半ばにピークの約15億人に達し、
以降は高齢化が加速、生産力にも影響を与えると懸念。
北京市西城区の高齢化モデル地域の住宅街にある
公営老人ホーム「月壇街道敬老院」。
「子どもは仕事で忙しくて、私は独り暮らし。
食事もつくれなくなったので、ここにきた」と
入居中の姚同春さん(79)。
北京市の65歳以上人口の比率は13%で、
上海と並んで全国トップクラス。
37人が入居しているが、30人以上が入居待ちの状態。
入居料は、月約2千元(約2万6千円)。
中国は、「孝行」を尊ぶ伝統が根強く、憲法も子どもによる
父母の扶養義務を規定。
北京市は、「9064」と呼ぶ高齢者福祉戦略モデルを推進。
高齢者の90%を家庭ケアで対応し、6%を地域で、
4%を施設でケアするという数値目標。
民間で介護ビジネスを手掛ける女性は、
「急速な市場経済化に伴う家族観の変質で、
個人主義が広まっており、施設ケアの比率4%は少なすぎ」
高齢者のうち、独居や老夫婦だけの世帯は都市部では既に50%超。
30年には、90%に達するとの予測。
北京でも、富裕層を対象にした「高齢者マンション」が建ち始めた。
「中国では医療、年金保険の次は介護保険も必要との議論が
専門家の間で始まり、日本の動向に注目」と
南開大学(天津市)の出和暁子講師(社会福祉学)。
中国は、医療保険の普及を急いでいる段階。
年金保険制度も都市部だけで、人口の6割が住む農村部では
まだ試行段階。介護保険は先の話。
貧困層支援団体の女性は、「農村部は若者が都市に流出し、
残された老人であふれている。
老人ホームもあるが、不衛生で環境は劣悪」と
高齢者問題の深刻さを訴えている。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/6/110618/
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