2009年11月15日日曜日

オリエンタルランドの加賀見会長兼CEO「舞浜で第3のパーク研究」

(日経 11月10日)

世界経営者会議には、消費不振といわれるなかでも、
果敢に成長戦略を描く経営者の発言が相次いだ。
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営する
オリエンタルランドの加賀見俊夫会長兼最高経営責任者(CEO)
そんな1人。同氏に、今後のビジネス展望を聞いた。

——2009年度下期以降の国内のレジャー需要の見通しは?

「大きく成長することはなく、横ばいになる。
様々あるレジャーの中で、テーマパークや遊園地に絞ると、
大都市と地方で差が出る。
東京や大阪はプラスだが、地方はマイナスに。
地方景気の回復テンポがにぶいからだ」

——地方のテーマパークや遊園地の生き残り策は?

「リピーターの獲得が大切で、その対策にハード・ソフト両面で
どれだけ投資できるかにかかっている。
他社のことをあれこれと言えないが、当社はスピードを重視。
いったん整備したものでも、ゲスト(入場者)の反応を見て、
必要と判断したらすぐに変更を加える。
ショーの観客から見えづらいとの指摘があったら、
次の日には座席の位置を変えるなどして対応」

——オリエンタルランドの今後の長期的な方針は?

「舞浜地区を中心に据えることは間違いない。
中身はまったくの白紙だが、東京ディズニーランド(TDL)、
東京ディズニーシー(TDS)に次ぐ、第3のテーマパークを
どうするかも長期的な研究課題。
実現させるとすれば、もちろん米ウォルト・ディズニーと組んでやる」

——舞浜地区で土地を確保できるのか?

平面駐車場を立体化すれば、いくらでも土地は手当てできる。
08年開業した東京ディズニーランドホテルも、駐車場を立体化し、
駐車台数を減らさずに土地を捻出。
第3のテーマパークの具体化はなかなか難しく、時間がかかる」

——ディズニーとは別のビジネス展開は?

今後実施する事業として、スポーツ施設など。
08年完成した『シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京』
コンセプトは、ディズニーとはまったく違い、
TDR全体としての魅力を高めている。
ゲストに足を運んでもらい、テーマパークとの相乗効果を
出すことが重要で、それはディズニーも了解」

「映画やアニメといったコンテンツビジネスへの参入は、
私の時代ではできないだろう。
興味はあるが、当社にはノウハウがなく、
マーケットの読み方が分からない。
難しいが、経験のある他社と組んで乗り出すこともあるかも」

——テーマパーク経営のポイントは?

現場と採算の両面に気を配る必要。
より良いアトラクションやショーを作ろうとする現場が強すぎると、
投資が膨らみ採算が悪化。
コストをかけなければ、魅力がなくなる。
この2つに折り合いはない。
足して2で割っても、多数決でも良いものはできない。
最終的には、経営者の責任で判断する。
現場に出てゲストの声を聞き、常にゲストに近づけるよう
感性を磨いておく必要がある」

長期的な視点で経営することも重要。
受け入れ能力を超える入場者を入れれば、その瞬間は当然もうかる。
混雑し、不快な経験をしたゲストは2度と来場しない。
当社は、年数回入場を制限している。
1年間を通じた決算は重要だが、短期的な収益については
過度に気にしないよう社員に言っている」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091109.html

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