(読売 11月11日)
多様な科目選択で、生徒は社会に触れて進路を考えている。
女子高生の“取材”が始まった。
「ケーキ作りの仕事をしていて楽しいことは?」、
「つらいことはありますか?」
大分県日田市内のケーキ店で、県立日田三隈高校1年の
田辺紗季さん(15)が、パティシエの佐藤奈々美さん(18)に質問。
「先輩から褒めてもらえるとうれしい」、
「時間がかかったり、ケーキを壊してしまったりした時は悔しい」と
答える佐藤さん。
佐藤さんが作ったケーキをごちそうになった田辺さんは、
「仕事のやりがいを聞けたり、お店の様子を見ることができて良かった」
総合学科で、1年の原則履修科目「産業社会と人間」。
同校がその授業の柱にするのが、「この人に学ぶ」。
1年の生徒全員がそれぞれ、関心のある職業の人を訪問、
インタビューし、仕事を学ぶ。
この日は、男子生徒3人も日田市役所を訪れ、職員2人に話を聞いた。
「色々な職業の人と知り合えるのがやりがい」、
「今のうちに市のことを知っておくと役立つ」
職員からアドバイスを受けた三苫直繁さん(15)は、
「想像以上に市役所の仕事を知ることができた」。
2、3年での科目選択につなげるため、
1年で進路について考える「産業社会と人間」は、
総合学科の根幹となる授業。
教科書はなく、各校のやり方に成否がかかっている。
日田三隈高の「この人に学ぶ」では、今年、1年の生徒約160人が
美容師や介護福祉士など、100か所程度を訪問。
「同じ職業でも、人により人生観、職業観は違うため、
インタビューで返ってくる答えも様々。
生徒がいろんな意見や職業を知ることで、自分に合ったものが
見つかるかもしれない」
当初の授業づくりにかかわった県立日田高校の宇野公是校長(59)。
生徒はそれぞれ、訪問先への約束を取り付け、事前に質問も考え、
生徒だけで訪問する。
その結果を、クラスや学年で発表したり、冊子にまとめたりしている。
自分で調べたり、発表したりする力を養うことを狙う。
1996年、総合学科になった日田三隈高の1期生は、もうすぐ30歳。
来年、「30歳のレポート」と題し、1期生などの卒業生に
高校での学習で生きたことや、学んでおけば良かったことなどを報告。
各地を視察し、教員で議論しながら「産業社会と人間」の授業を作り、
当初と変わらぬ内容で続けてきた。
「時代も変化している。同じ内容でもやり方や視点を変え、
より良いものにしたい」と宮脇和孝教諭(31)。
「自分がどう生きるかを考えさせるのに大事な科目」と
高木啓次校長(54)。
科目選びだけでなく、将来の生き方まで考える授業づくりが
これからも問われている。
◆産業社会と人間
総合学科高校で原則として履修する科目、体験的な学習などを通し、
将来の職業選択につなげる能力の育成を狙う。主に1年で学習。
授業内容は各校それぞれで、社会人講師の講演、
職場見学や体験、大学の見学など。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091111-OYT8T00352.htm
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