2010年1月23日土曜日

教員養成(8)経営学部で「体育」免許

(読売 1月16日)

体育系以外の学部・学科で、保健体育の教員を養成。

静岡産業大学磐田キャンパスで昨年11月、
経営学部の学生たちがテニスの授業を受けていた。
2人1組でのショートラリー、サービスの練習――。

ほとんどが初心者で、動きがぎこちない者も少なくない。
一見、一般教養科目のようだが、実は、教職課程の体育実技。
「生徒は苦手な種目だと、どうしても後ろに隠れてしまう。
そんな子にも目を配って、しっかりと教えないとだめだよ」。
窪田辰政専任講師(41)が指導法を伝えると、
学生たちは汗だくになりながらも、熱心に耳を傾けた。

同大は2006年、経営学部に新設したスポーツ経営学科に、
中学・高校の保健体育の教職課程を設けた。
今年度は、学科在籍学生のうち3割にあたる約200人が、
同教職課程を取っている。

同学科は、スポーツクラブ運営・管理者やインストラクター、
運動行事の企画者など、スポーツ産業で活躍する人材を
養成するのが目的。

スポーツ経営学、同産業論など経営学部ならではの専門科目と
並んで、スポーツ指導論や運動学などインストラクターに
なるために役立つ科目があり、これらの科目の大半が、
教員免許の取得に使える。

大坪檀学長(80)は、「一般企業への就職でも、
教員免許を持っていると有利。
スポーツ経営学科で、教員免許が取得できるのは、
学生にとってメリットがある。
多様な教員を育成する開放制の狙いにも合っている」

戸惑いやストレスを抱えている学生もいる。
窪田専任講師は、「必ずしも、体育が得意で入学してくるわけではなく、
経営の専門科目を学びながらの教職課程のため、
教員免許取得へのモチベーションを維持するのが難しく、
途中であきらめるケースも」

教員を目指して入学した同学科3年の大沢登さん(21)は、
「地域スポーツ運営など、学科で学んでいる専門知識は
教員として生かせると思う。
教員採用試験では、ハンデになるのではと不安」と、
複雑な心境を明かす。

札幌大学でも07年度から、文化学部文化学科スポーツ文化コースに、
中学・高校保健体育の教職課程を設けた。
同学部の瀧元誠樹准教授(40)は、
「スポーツ文化学という新たな学問分野を習得した
教員の輩出には意義がある」

文部科学省によると、体育系以外の学部・学科で、
中学・高校保健体育の教職課程認定を申請する
私立大学が増え始めたのは04年ごろ。

学部や学科の性格と免許状との関係が薄かったり、
十分な教員養成教育が行われていなかったりする大学もあり、
09年5月に認定基準が厳格化されるなどの動きも。
一般大学での教員養成のあり方が改めて問われている。

◆教職課程認定

中央教育審議会の答申を受け、文部科学大臣が認定。
08年現在、認定を受けた教職課程を持つ私立大学は、458校。
全私立大に占める割合は79.9%、
国立大の92.7%よりも10ポイント以上低いが、
1998年に比べ、国立大が3校減ったのに対し、
私立大は112校多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100116-OYT8T00291.htm

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