2010年1月20日水曜日

教員養成(5)「触れ合い」へき地で学ぶ

(読売 1月12日)

へき地での実習で地域と触れ合い、教職のやりがいを知る。

「子ども一人ひとりと向き合って授業を進める、
複式学級の難しさとやりがいを実感できた」、
「保護者や地域の人と触れ合い、
学校と地域とのつながりの深さを知った」

北海道教育大学札幌校で開かれた
「へき地校体験実習」の報告会。
同8月下旬から9月にかけて約1週間、道内のへき地にある
小規模校で体験実習した学生約30人が、学んだことなどを発表。

実習は、道内の小・中学校1994校のうち、ほぼ半数の963校が、
へき地指定学校という特殊事情を踏まえたもの。
複式学級などでのきめ細かな指導や、地域と連携した学校運営を
学ぶのが目的。
岩見沢校で1978年スタート、2006年大学再編で本格導入。
へき地校へのマイナスイメージ解消という狙いも。

2、4年生の希望者が対象で、実習中、
学生たちは学校や公民館に宿泊。
2年生は、複式学級の授業を週1時間、
4年生は、期間中の全授業で教壇に立つ。
授業実習以外にも、一緒に芋掘りや虫捕りをしたり、
夏祭りに参加したりして、子どもを見る目を養い、
へき地という地域を学ぶ。

実習担当の前田賢次・同大准教授(43)は、
「札幌市など都市部出身の大多数の学生にとって、
へき地での教育の特性や、そこで暮らし、学ぶ子どもたちを、
実体験から理解することは大切。
実習は、教員になってからの実践に大いに役立つはず」

教育臨床専攻2年の川田恵子さん(20)は、
渡島半島北部の人口約6000人の今金町にある
町立種川小学校で、1、2年生合わせて8人の複式学級で実習。
「学年ごとに異なる単元を、時間内に配分して教えるのが難しかった。
児童それぞれの習熟度に合わせた授業の展開など、
小規模校だからこそできる教育を学べた貴重な体験だった」

道内で教員になれば、へき地に赴任する可能性は高い。
同大からは毎年、卒業生で教職に就いた者の約8割にあたる
400人前後が道内で採用。
前田准教授によると、近年は、子どもとの距離が近い、
住民との触れ合いがあるなどの理由で、
へき地校勤務を望む者が増えてきていることもあり、
毎年200人程度がへき地での実習を希望。

受け皿には限界があり、今年度、実習を体験できたのは、
希望者の半数程度の97人。
教員養成課程2学年の学生数の1割にも満たなかった。
「実習協力校を増やすのが、今後の課題」と前田准教授。

全国へき地教育研究連盟の安谷功事務局長(77)は、
「へき地校は、不便さもあるが、特殊な指導技術が
求められるため、赴任したがらない教員も多い。
学生さんに、へき地の教育事情を知ってもらうことはとても重要」

◆へき地指定学校

へき地教育振興法に基づき、各都道府県の条例で
指定された公立小・中学校。
都道府県や市町村には、教育の特殊事情に適した学習指導の
調査研究や教員の研修などが義務付けられている。
全学校数に占める割合が最も多いのは北海道で、
次いで鹿児島県、高知県の順。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100112-OYT8T00272.htm

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