2010年1月21日木曜日

教員養成(6)小学教員に得意分野

(読売 1月13日)

教科専門教育を重視し、得意分野を持った小学校教員を養成。

「数式を出す前に、なんでそうなるんか自分でよく考えて。
図をかいてもいいし、絵でもいいよ」
大阪市立大江小学校。
大阪教育大学4年の二井健一さん(22)が、
教育実習で教壇に立っていた。

黒板と机の上のノートをにらめっこしながら、
問題に取り組む児童たち。
「先生できた」。
しばらくして1人の男子が大きな声で手を挙げると、
「はい」「はい」「はい」――。競い合うように挙手が続く。
児童が黒板に答えを書いている間も、
別の児童が自分の考えを聞いてほしいと訴えるなど、
教室内は終始、活気にあふれていた。

二井さんは、小学校教員養成課程の数学専攻。
教科専門の「問題解決型の算数授業の進め方」を研究テーマに、
昨年9月から毎週1回大江小に通い、
算数の教材研究や実習などを行っている。

今年4月から小学校教員になる二井さん。
「教科の専門性を高めてきたおかげで、子どもたちに
自ら考えさせる授業がいかに重要かが分かった。
得意な分野を持つことを強みとして、頑張りたい」と意欲。

同大の小学校教員養成課程では、戦後の学制改革以来、
特定教科を重点的に学ぶピーク制を採用。
学生たちは、教職と全教科の基礎科目を履修したうえで、
専攻する教科の専門知識や指導法を深めている。

長い年月にわたって務めを果たせる教員を養成するには、
理論を中心とする学問的素養を身につけさせることが重要。
本学の教科専門が目指すのはこの点で、
学校現場に即戦力として送り出すためではない」
長尾彰夫学長(63)は、実践力偏重の教育とは距離を置く。

同大の卒業生に占める教員就職率はここ数年、
60%台半ばで推移し、全教員養成大学・学部の中で
上位を維持し続けている。
教員に正規採用された者の数は毎年270人前後で、
4年連続全国1位。

来年度から、教科専門教育をさらに重視したしくみに改編。
従来は、小学校と中学校の2課程内にそれぞれ教科別専攻を
設けてきたが、改組後は国語、社会、数学などの教科別専攻を
柱とし、その下に小学校と中学校の2コースを設ける。

「教員養成大学・学部の統廃合が進む一方、
小学校教員養成課程を新設する私立大学が増え、
われわれの存在意義が問われている。
今こそ、教育の特色を鮮明に打ち出していかなければならない」
長尾学長は力を込める。

教科専門教育の伝統は、教育環境の変化を
冷静に受け止めながら、さらなる進化を続けている。

◆ピーク制

全科担任が原則である小学校教員の養成課程で、
全教科の基礎を学んだうえで、特定の教科や分野について
深く専門的に学ぶしくみ。
比較的規模の大きい教員養成大学・学部で導入している
ケースが多く、課程内に国語、社会、理科など
教科別の専攻やコースを設けている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100113-OYT8T00202.htm

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