(読売 1月14日)
小学校教員の養成課程を設ける私立大学が増えている。
「鮮やかな色で、大きく描いたほうがいいんじゃない」、
「分かりやすく説明するには、どうしたらいいかな……」
アイデアを出し合いながら、画用紙に絵を描いたり、
写真を張ったり――。
早稲田大学教育学部の教室で、
初等教育学専攻の2年生たちが、夢中で作業。
対人関係能力の育成を狙った、生活科の授業。
「学生生活を支える人々」というテーマのもと、学生たちは
通学バスの誘導員や近くの飲食店店主など、
様々な人をインタビュー。
近く発表会が行われ、その準備をしている。
「授業を楽しみながら学ぶことを、子どもたちの立場になって
体験できるよう工夫した」。
指導する藤井千春・同学部教授(51)。
前身の高等師範部から、1世紀以上の歴史を誇る
同大の教育学部が初等教育学専攻を開設し、
小学校教員の養成に乗り出したのは2008年。
教育学や教育心理学、指導法などが専門の
元教員養成大学教授ら4人を招き入れた。
入学定員は30人、1年次から少人数指導を徹底。
同専攻2年の中江友里奈さん(20)は、
「きめ細かな指導を受けながら、いろんな教育問題について
クラスメートと議論する機会も多く、とても刺激になる」
教科専門科目について、非常勤教員のほか、理学科や社会科など、
学部内の他学科教員も指導に加わる。
小林宏己教授(56)は、「付属校をフルに活用できる
教員養成大学・学部に比べ、実践教育ではまだ劣るかもしれないが、
文系、理系ともに専門家がそろった教育学部教員陣の指導力を
生かすことができる」とアピール。
教員養成は、戦後の学制改革で開放制の原則が導入、
認定を受ければどの大学でも行うことが可能に。
小学校教員の養成は、「教員養成を主たる目的とする
学科等でなければならない」と規定、
中学校や高校教員の教職課程に比べ、
手厚い指導体制が求められた。
国による需給調整もあり、私立大学での小学校教員養成は抑制。
小学校教員需要の高まりを受け、
国は06年度分から定員抑制を撤廃。
大学全入時代の学生集めに悩む私立大学の多くが、
小学校教員の教職課程を設置。
文科省の調べでは、08年時点で小学校教員の教職課程を持つ
私立大学は118校と、1998年時点(40校)に比べて3倍。
東洋大学でも、文学部教育学科に初等教育専攻を開設。
文京区、荒川区など都内6区の教育委員会と協定を結び、
1年次から小学校での授業観察など体験型学習を取り入れている。
教育学科の宮崎英憲教授(66)は、
「特別支援教育や社会教育など、学科内の他専攻の
科目履修が可能、幅広く学べるのが強み」
私立大学の相次ぐ参入で、小学校教員の養成は
新たな時代を迎えている。
◆教員養成の開放制
文部科学大臣による教職課程の認定を受けることで、
教員養成大学・学部以外の大学でも
教員免許が取得できるしくみ。
幅広い分野から人材を求めることで、
高度な専門知識を持つ多様な教員を育成する狙い。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100114-OYT8T00384.htm
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