(サイエンスポータル 2010年1月7日)
ウナギの祖先は、元々深海で住んでいた可能性が高いことを、
東京大学海洋研究所と千葉県立中央博物館の
研究チームが突き止めた。
深海で住んでいた先祖が、極端に餌の乏しい熱帯の
外洋中・深層を見捨て、餌が豊富な熱帯・亜熱帯の淡水域で成長、
産卵だけは遠い昔から慣れ親しみ、
しかも外敵が少ない安全な外洋の深海で行う。
ウナギは、異なる2つの環境をうまく利用するように
進化してきたと考えられる。
東京大学海洋研究所の塚本勝巳教授、西田睦教授、
井上潤研究員(現ロンドン大学)、宮正樹・千葉県立中央博物館
上席研究員らは、ニホンウナギを含むウナギ属19種に加え、
アナゴ科、ウツボ科、ウミヘビ科なども含めた56種の標本を
世界中から集め、細胞中に含まれるミトコンドリアの
DNA全塩基配列を調べ上げた。
この結果、これら56種は最終的には同じ祖先から
枝分かれしてきたと見られるものの、
ウナギ属は浅海や大陸棚に生息し外見も似ている
アナゴ、ハモ、ウツボなどとは遺伝的には遠く、
シギウナギ、ノコバウナギ、フウセンウナギ、フクロウナギ、
タンガクウナギ、ヤバネウナギなどの深海魚と
近縁であることが分かった。
これら深海魚は、外洋の水深200~3,000mに生息。
ウナギという名がついているものの、巨大な口やくちばしのような
顎を持つ体型から、ウナギ属とは全く遠い種と考えられていた。
ウナギが生息する川や湖から数千キロも離れた外洋で
産卵することは、生まれたてのウナギの幼生が
マリアナ諸島沖の西部北太平洋で見つかったのに続き、
一昨年、水産庁開洋丸による同海域の調査で初めて成熟した
ニホンウナギが採集されたことで確実視。
なぜ、ウナギがこのような大規模な回遊を行うのかは
長い間、謎。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/1001/1001071.html
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