2010年1月22日金曜日

“ステルス小売”、コストコの実力

(日経 2010-01-09)

米国生まれの流通企業。
コストコ・ホールセールスが、日本でも人気。
週末ともなれば、低価格商品を買おうとする車客が
大勢押しかけ、渋滞が発生することもザラ。

消費者や飲食店が会員となり、食料品や日用雑貨類などを
低価格で販売するのが、コストコのビジネスモデル。
現在、北海道、千葉、埼玉、東京、神奈川、兵庫、福岡に
9店を展開。

基本的には、業務向け利用を想定し、大容量が基本。
枕のような肉の塊、座布団のような大きなピザ、
飲料もパック売りが大半。
少子高齢社会の日本では、多くのスーパーでは
少量パックが主流になりつつあるが、コストコはその正反対。

1999年、日本進出を果たした時の評判は、
「あんな大容量だったら、日本の家庭にある冷蔵庫に入らない。
日本では、受け入れられるのは難しい」という指摘。

それが今では、店舗周辺に渋滞を起こすほどの盛況ぶり。
買い物する姿は、家族連れのほか、
買い物仲間たちが集団でやってくる。
日本のスーパーにあるよりも1回り、2回りも
大きなショッピングカートに山積みになるほど買い込んでいく。

レジでの精算が終わると、買い物仲間は、欲しかった商品を
山分けするように“仕分け”作業に。
とても1世帯では食べきれない大容量の商品でも、
3、4世帯が山分けすればちょうどいい分量。

デフレ経済の中で、いかに安い商品を手に入れることができるか。
賢い主婦たちの腕の見せ所。
確かに、買い物上手な面はある。
コストコファンの会員と話しをすると、意外な答え。
「お店やメーカーに、自分たちの購買行動を知られなくてすむ」
という答え。

この店に入るには、会員になることが必要だが、
“共同購入”の場合、支払いは1人の会員の購買行動として
データは蓄積。
それ以外の買い物仲間は、匿名性が担保される。

今やスーパーなど、日々の買い物でもクレジットカードや
ポイントカードは欠かせない。
知らず知らずのうちに、どんな消費行動をしているのかが、
小売店やメーカーにフィードバック。
コンビニでも、レジには年齢層や性別のキーボードがある。

消費者は、自分の買い物行動が吸い上げられていることに
嫌悪感を抱き始めているのでは。
便利になった社会の代償として、監視・管理社会に。
ストレス発散にもなる買い物ですら、
消費者は苦痛でストレスに感じている証左。

コストコ人気は、「知られたくない」という消費者心理を
うまくくみ取って、日本の消費者に溶け込もうとしている。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo100108.html

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