2010年1月8日金曜日

「天を衝く」の英訳出版 静岡の西村さん

(岩手日報 1月5日)

静岡県函南町の元大学教授、西村嘉太郎さん(80)は、
盛岡市在住の直木賞作家高橋克彦さんの歴史小説
「天を衝く」の英訳本を出版。

「主人公の武将九戸政実の生き方を、海外の人にも
知ってもらいたい」と、5年がかりで翻訳した労作、
高橋さんも、「英訳はうれしいのひと言。
県内の外国人に読んでもらいたい」
「天を衝く」は、安土桃山時代、南部一族の九戸政実が
豊臣秀次率いる奥州討伐軍に戦いを挑んでいく姿を描いた。
英訳のタイトルは、「To Tempt Heaven」。748ページ。

福島大などで英語を教えた西村さんが、
「天を衝く」と出合ったのは2001年、
大学設立を手伝うために渡ったタイ。
空港ラウンジに置いてあった文芸雑誌の連載に引き込まれた。
帰国後の04年、地元書店で単行本を見つけ、
その面白さを世界に発信したいと、翻訳を決意。
知人を通じて、原作者の高橋さんと会い、翻訳の許可をもらった。
共訳者に、知人の米国人ピーター・W・ウオーカーさんを迎え、
05年から本格的に翻訳に取り掛かった。
毎日3、4時間英訳し、米オレゴン州在住のウオーカーさんに、
電子メールで訳文を送り、検討してもらうという作業を重ね完成。
昨年11月、教え子らの協力で自費出版。
登場人物の名前を、政実は「マサ」などと短くして表記、
外国人にも読みやすいよう工夫。
西村さんは、「翻訳文には、あまり自信はないが、
政実と九戸一族の菩提寺の住職である薩天和尚との会話などは
うまく訳せたと思う」
高橋さんは、「出版社の依頼ではなく、個人の思いから
翻訳してもらいありがたい。自分も100冊購入。
岩手にかかわる外国の人に読んでもらえるよう、
寄贈など考えている」

「To Tempt Heaven」はA5判、1900円(税別)。
問い合わせは八朔社(03・3235・1553)。
県内書店でも注文できる。

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