(日経 2009-12-24)
1990年代、ウオーターフロントブームに沸いた
東京の天王洲など湾岸地帯が、再び静かな活況。
今回のブームに、人影はあまり見られない。
無骨な倉庫などが立ち並ぶ街の風情も、さほど変わらない。
変化は、内部で起こっている。
用済みの自動車修理工場などが、デジタル経済の頭脳である
データセンターに生まれ変わっている。
「供給不足だ」。
インターネット企業どうしの接続事業やデータセンターを運営する
外資系大手、エクイニクスの古田敬社長は、
昨今のデータセンター建設ラッシュの状況を説明。
野村総合研究所の予測によると、国内データセンターの
市場規模は、2009年度で1兆2490億円。
年平均4.2%の成長が続き、14年度には1兆5000億円を突破。
ネットワーク経由で、情報システムの機能を利用できる
「クラウドコンピューティング」などの普及もあり、
データセンターの増設は世界中で進んでいる。
日本の特徴は、極端な首都圏への一極集中。
野村総研は、「都心部を中心に、サーバー設置場所の供給が不足し、
企業にとって、データセンターの確保が喫緊の課題」
アジアには、データセンターが多数立地するシンガポールなどの
都市もあるが、東京の集積度は「群を抜いている」
(エクイニクスの古田社長)。
背景には、施設の運営に欠かせない電力や通信環境の良さ。
通信インフラについては、東京の右に出る街はない。
都心部を起点に、NTT東西が敷設した未活用の光回線
「ダークファイバー」。
NTTに対する開放義務付け制度により、首都圏では、
「圧倒的な低コスト」でこの通信基盤を利用でき、
これが新たな施設を呼び寄せる。
世界のデータセンターの増設をけん引するのは、
グーグルやアマゾン・ドット・コム、セールスフォース・ドットコム
などの米国勢。
これらの企業は、米国に集中していたデータセンターの分散に
動いており、アジアでは「東京」が有力な受け皿。
09年、都道府県地価調査で、商業地が前年比5.9%下落。
百貨店売上高も、20カ月以上にわたり前月割れが続く。
データセンターを核に、アマゾンなど国内で物販などで成長を続ける。
デフレが鮮明な日本のマクロ経済の状況と、裏腹な首都圏の
データセンターラッシュが、膨張する日本のデジタル経済を支える。
一極集中というリスクをはらみつつ。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt091222.html
0 件のコメント:
コメントを投稿