(日経 3月11日)
英ソニー・エリクソンは、2.6インチの小型タッチパネルを搭載した
「エクスペリアX10ミニ」など、手のひらに収まる大きさの
スマートフォン(高機能携帯電話)3機種を一斉に発表。
2010年内に、世界各国で順次発売。
これまで、画面の大型化や情報処理速度の高速化を
競ってきたライバルとは逆の発想で、
スマートフォンの新たな需要を掘り起こす考え。
坂口立考副社長に、開発の狙いや同社の商品戦略を聞いた。
——なぜ小型化にこだわったのか?
「従来のスマートフォン市場は、高機能な携帯電話を求める
消費者のためだけに開発しているという印象が強かった。
米アップル「iPhone」のように、大画面で機能が豊富な商品の
ニーズはあるが、携帯電話に求められる特徴はそれだけではない。
誰にでも使いやすい操作性を持たせつつ、
他のスマートフォンとの違いをアピールできるのが、
X10ミニなどの小型商品」
「我々の商品開発の背景には、誰もやっていない、誰もが欲しいと
思ってもらえる商品を、世界中の人々に届けたいという思い。
当然、高価格帯の商品だけで実現するのは難しい。
今回の小型商品では、コミュニケーションをエンターテインメントにする
という当社のブランド哲学を込めつつ、
普及価格帯に抑えることに力を注いだ」
——X10ミニでは、米グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)
「アンドロイド」を採用。
「アンドロイドは、『Gメール』などグーグルの豊富なネットサービスを
手軽に利用できる半面、OSの設計情報が公開され、
どのメーカーでも比較的簡単に搭載端末を作れてしまうという
デメリットもある。
OSが、メーカーの競争力を左右するわけではない。
X10ミニでは、よく使うアプリケーションソフトのアイコンを、
画面の四隅に自由に配置できるようにするなど、
独自の機能を加えることで、他のアンドロイド搭載端末との違いを
打ち出している」
——韓国・サムスン電子などアジア勢の台頭で、
ソニー・エリクソンのシェアは低下傾向が続いている。
「グローバルで事業を手掛ける限り、ある程度の出荷台数を
稼がなければ、商品開発は成り立たない。
携帯電話市場で、シェアを追求するということは、
非常に安い商品を品ぞろえすることを意味。
シェア拡大を目的にすると、商品開発面で
挑戦できなくなってしまうことも多い。
ソニー・エリクソンでは、価値ある商品を作り続けて、
世界中で存在感を発揮するという目標は持ち続け、
シェアが0.1%上がったり、下がったりするのを気にしてはいない」
——今後、携帯電話以外の商品を手掛ける計画はないか?
「消費者の間では、1つの情報端末ですべてを済ませるのではなく、
ネットブックやスマートフォンなど、複数の端末を組み合わせて使う
ライフスタイルが定着しつつある。
単純に、ノートパソコンと携帯電話を足して2で割ったような
商品を手掛けるつもりはないが、インターネットの操作性を高めて、
人間同士のコミュニケーションをより円滑にする
新たな領域の商品作りには常に意欲を持っている」
——日本市場の位置づけは?
「日本が先進的な市場で、ソニー・エリクソンにとっても
重要な市場であることに変わりはない。
当社は、日本市場も世界市場の一部分ととらえている。
日本でしか販売できない商品を作り込むのは、負担が大きいし、
当社のブランド哲学にも合わない」
「当社には、資金的にも人材的にも限界があり、
商品群は1つしかない。
その中から、なるべく多くの商品が日本でも売られるように
努力していきたいし、日本の携帯電話事業者にも
その点を理解してもらいたい」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100310.html
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