2010年3月31日水曜日

日本HPの岡副社長「PC販促策、学校や学生を軸にブランド浸透図る」

(日経 3月18日)

日本ヒューレット・パッカード(HP)が、
パソコン市場でのシェアを高めている。
これまで比較的強かった企業向けに加え、個人を主なユーザーに
想定する「コンシューマー向け」機種の品ぞろえを充実。
HPブランドを浸透させ、顧客のすそ野を広げる戦略。
どんな点に力を入れ、市場を開拓していくのか。
パソコン事業を統括する岡隆史副社長に聞いた。

——コンシューマー向けに力を入れる背景は?

日本HPは、国内では企業向け製品を供給する
『BtoB』のIT企業として知られ、コンシューマー向けでは
ブランド力が弱かった
世界のHPグループ全体でみると、コンシューマー向け
製品のほうがむしろ強い。
豊富な製品群を、国内市場で生かせていないということに。

パソコンについて顕著なことだが、消費者は知らない
ブランドの製品は購入しない。
HPのパソコンを選んでもらえるほど、ブランドが広く知られれば、
BtoB市場での存在感も高まる」

「2007年12月、小出伸一社長が就任してから2年ほど、
米HPがITサービスの米エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)を
買収したことに伴う、日本法人同士の統合などの懸案が重なった。
日本HPの対外的アピールも、後回しにせざるを得ない面。
これまでも、徐々にコンシューマー向けは強化しているが、
ここにきてブランド戦略を本格化する余裕がでてきた」

——具体的な戦略のポイントは?

まず、『おもしろい会社』であることを発信。
そうでなければ、消費者には選んでもらえない。
学生の就職活動を支援したり、テニスのクルム伊達公子選手の
スポンサーになったりする活動を通し、
ブランドの認知度を高めることを目指す。
まだITを使いこなしている層が中心だが、当社のブランドが
消費者の間に広まってきている」

社内では、営業要員の人事交流制度を設けている。
企業向けとコンシューマー向けの部署を、
数年で行き来する制度で、顧客層を広げる上で役立つ。
現在、コンシューマー向けを担当している要員の2割程度は、
ここ2年の間に企業向けから異動。
こうした考え方の基礎は、HPグループ全体でも持っているが、
日本HPでは一歩踏み込んで具体化」

——どんな機種を投入するのか?

昨年、重点領域を『女性』、『大学生』に定め、
就職活動支援なども手掛けてきた。
今年は、『学校』への浸透も図る。
著名デザイナーがデザインを担当したノートパソコンを2機種、
主に女性向けに販売、今後はさらに増やす。
1台のパソコンを、最大10人の生徒が同時に使えるシステムを発売。
学校やパソコン教室などの需要を開拓できると期待。
昨年8月、日本通信と提携し、高速データ通信サービスを付帯した
ノートパソコンをビジネス向けに投入、コンシューマー向けにも展開」

海外で発売している中でも、おもしろさをアピールできるような
製品は、積極的に投入する。
販売経路では、これまで手薄だった量販店をどう開拓するかがカギ。
店員が、パソコン初心者にHP製品を勧めるといった
口コミでの拡販も重視し、マーケティングを展開したい。
自社のウェブサイトで、インターネット通販も手掛けているが、
このインフラも活用する」

——コンシューマー向け市場での目標は?

「2年前、ほとんど無名だったコンシューマー向け事業も、
今では着実に伸びている。
12年、国内シェアの7%、14年には10%を狙う。
デスクトップパソコンでは、すでに7%を達成、
ノートパソコンが今後の課題。
現段階では、期待値の6~7割程度しか達成できていない。
小型・低価格の『ネットブック』と、高機能携帯電話の
『スマートフォン』の中間に位置する『スマートブック』の投入も検討、
シェア拡大に生かす方針」

「国内のパソコン市場は、時として供給過剰になることが。
ノートパソコンの店頭価格は、乱れているといってもいい。
そうした市場で、どう勝負するかが課題。
世界で屈指のシェアを獲得しているスケールメリットを生かすが、
安売りメーカーとは見られたくない。
ブランドイメージを大切に育て、顧客への浸透を目指したい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100317.html

0 件のコメント: