2010年6月9日水曜日

天下りより官僚FA  (鈴木修氏の経営者ブログ)

(日経 2010/5/28)

皆さんご承知の通り、お役所には変なシキタリがある。

同じ省内で、同期入社の一人がトップに登りつめていくと、
みんな退官する。
退官後もそれなりに処遇しないといけないから、
財団法人や公益団体など多くの天下り先を作る。
まさに悪循環。

僕は、官僚の皆さんに言いたい。
天下りなんて言われるまえに、
早く退官し、自分を高く売りつけなさいよ。

20歳代から天下国家の視点で政策を勉強し、
お国のために一生懸命働いた方々。
豊富な経験と幅広い見識を持っておられるのですから、
それらを日本の産業発展のために生かしてくださいよ。

自ら外の世界に飛び出すのだから、天下りではない。
私は、プロ野球でいうところのフリーエージェント(FA)だ。

企業も「役所に頼まれたから」と言って、要らない人を
引き受けるのではなく、本当に必要な人材に来てもらう姿勢を
明確にしなくてはならない。

実は、スズキは随分前から「官僚FA制度」を採用。
役員の1割ぐらいは、社外の異色の経験の持ち主を充てる、
という考え方で、現在は3人の方々に在職。

優秀ですよ。
海外経験も豊富だし、とにかく行動力がある。

スズキに入社し、ものづくりの現場を歩いてきたプロパーこそ、
会社を支える戦力。
企業が成長するには、違った視点を取り入れることも大切。

常々考えているが、官僚の方は45歳になったら、
民間へ出るほうが良いのではないか。

優秀な方々だから、45歳から2年間、みっちり現場で
「雑巾がけ」をすれば、会社のことを覚えられる。
そうすれば、20年間官僚として身につけた実力を、
経営幹部として存分に発揮できるはず。

45歳を過ぎ50歳にもなると、お役所の中で偉くなってくる。
一から雑巾がけするのはなかなか難しい。
大学や研究機関で活躍するなら、いくつになっても遅くないが、
ビジネスの世界に飛び込むなら、45歳がひとつの目安。

優秀な人材を生かせない天下りは、国家にとって甚大な損失。
企業の戦力として活躍する元官僚が増えれば、
天下り批判なんてなくなると思う。

いま、日本の製造業は厳しい時代を迎えている。
官僚の皆さん、ものづくり復権に向けて一緒に知恵を絞りませんか。

http://www.nikkei.com/biz/blog/article/g=96958A9C93819499E0E7E2E1998DE0E7E2E7E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E2E7E2E3E0E2E3E2E1E3EBE3

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