2010年6月10日木曜日

医療の疑問にやさしく答える 患者力トレーニング 更年期… 患者塾

(2010年6月1日 毎日新聞社)

歌手の森昌子さんが子宮を全摘したというニュースに、
たくさんの方からお電話をいただいた。
一番多かったのが、「喪失感」に関するもの。

「医師は、『子宮を全摘しても、卵巣を取るわけではないので、
女性ホルモンの環境には何の影響もない』と説明。
この喪失感は、全摘した者にしか分からない。
医学教育に、そうした心のケアに関するものを
もっと取り入れるべきではないか」

「森さんの場合、更年期障害と重なったので、
たいへんだったと思う。
出血がひどくて立っていられないという経験を私もしたが、
家族も含め、職場の同僚も心から理解してくれる人は
ほとんどいなかった」

「私も、子宮全摘を勧められている。
子供も大きくなったし、今さら子宮を取っても影響がないのは
分かるが、女でなくなるような気がして死にたい」

更年期障害では、喪失感がしばしば問題に。
女性ホルモンが急激に減って、さまざまな不定愁訴と呼ばれる
症状が現れ、「女らしさを失った」と言う思いに沈み込むように。

さらに追い打ちをかけるのが、子供や夫のこと。
手塩にかけた子供が一人前になって、
「自分が必要ない状態になったこと」、
「夫はもともと他人で、妻なんてじゃまでこそあれ、
必要なものではないらしい」という思いが、喪失感を決定的なものに。
森昌子さんの場合、女性としての象徴的な臓器である
子宮を全摘したわけで、立ち直るのはたいへん。

ここでちょっと厳しいことを言っておきたい。
かかりつけ医として、更年期女性の喪失感に精いっぱい
理解しようと、努めて診療に当たっているつもり。
準備の足りない女性が多すぎる。
夏の後には秋が来て、やがて冬が訪れる。
更年期障害でつらいところに、子宮を取らねばならない可能性は
女性なら誰だってある。
心と体の季節が夏のうちに、冬の準備をしておくのが
患者力ではないか。
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Q 紫外線に害があるの?

1歳になる孫がいる。
天気がよかったので、「天気のいい日は、外に出てお日様に
当たった方がいいよ」と言ったら、娘からえらくしかられた。
「紫外線の害のことを、おばあちゃんは何も考えてない」と。
鹿児島市、59歳、女性

A 浴び過ぎに注意、熱中症にも

紫外線は毒で、なんのメリットもない、というわけではない。
体内でビタミンDを作る手助けをし、免疫力を高める。
太陽光を浴びる時間は、10分程度で十分。
顔から肩にかけて浴びるだけでも十分。

最近は、紫外線の害が強調。
特に成長期で、細胞分裂の盛んな時は、
紫外線を浴び過ぎないように注意。
ベビーカーでのお散歩の時、アスファルトからの照り返しで
熱中症になる心配も。
外での散歩は、ほどほどに楽しんで。

Q 家で高く、病院で正常な血圧

48歳の妻は、病院で測る血圧は正常なのに、
「隠れ高血圧」と言われ、薬を飲んでいる。
「白衣高血圧」は聞いたことがあるが、病院で正常で、家庭で高い
なんてことがあるのか。
私と一緒にいるのがストレスなのか。
熊本市、52歳、男性

A 夜と起床時の値に注意を

家庭で測った血圧(家庭血圧)が、医療機関で測った血圧(外来血圧)
より高く、基準値を超えている場合を「隠れ高血圧」、「仮面高血圧」。

血圧は夜寝ている間に下がり、朝戦闘モードになって上がる。
脳卒中や心筋梗塞は午前中に多い。
家庭では夜くつろいだ時と起床時の2度測り、高い時は治療が必要。

日本高血圧学会では、135/85以上なら治療が必要。
食事療法と運動療法から始め、効果がなければ薬を飲みます。
家庭でのストレスかどうかは、治療の効果がない時に検討すればいい。
ご主人も家庭血圧をチェックしてみてください。
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回答まとめ・小野村健太郎さん

質問は事務局へ
〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話093・222・1234 FAX093・222・1235

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/1/121083/

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