(日経 5月24日)
もう論争はやめよう。
英語と国語、どちらが重要か。
両方を習得できる道はある。
取り払うべきは心の壁だ。
正直言って、外国人の取材は苦手。
「もっと英語ができたら」と、痛感するのが、
正式なインタビューを済ませた後。
普段は、取材後のささやかな会話から相手の本音を聞き出したり、
人となりを理解したりするが、相手が外国人だとうまくいかない。
5歳の娘をアメリカの保育園に約1週間、預けたことが。
初日の夕方、迎えに行くと、娘の目は真っ赤に腫れ、
声はガラガラ。
英語がわからないので一日中、部屋の片隅で泣き叫んでいた。
翌朝、「絶対行きたくない」と言い張る娘を保育園へ連行。
しがみつく手を振り払って、保育園を後にした。
ところが夕方、娘の様子を見ると、
笑顔で友達と遊んでいるではないか。
「あしたもここに来たい」。
娘なりに、一生懸命に意思疎通の努力をした。
子どもの順応性に驚かされた。
語学教育には、いろんな意見がある。
「外国語より国語が大事」、「幼少期から徹底した英語教育をすべき」
そんな論争を続けている間も、地球は回り続け、
世界と自分の距離はいや応なく縮まっている。
多感な時期にいろいろな国・地域で、多様な価値観を肌身で
感じることが重要。
高校無償化につぎ込む予算を、留学費用や外国人教師の採用に
充てることを考えてもいいのではないか。
外国人に、日本の文化や日本語を教える活動も強化すべき。
外国語ができないことで、今の若い人たちが将来、
損をするような事態は避けたい。
外国人を取材するたびに、そう思う。
http://www.nikkei.com/news/topic/article/g=96958A9C93819596E3E6E2E4E48DE3E6E2E7E0E2E3E2869087E2E2E2;q=9694E3E5E2E7E0E2E3E2E0EAE6E5;p=9694E3E6E2E7E0E2E3E2E0E7EAEB;n=96948D808D9F9B80939B8D8D8D8D;o=9694E3E2E2E7E0E2E3E2E0E2E7E3
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