2010年6月6日日曜日

在宅の医療・介護充実を   高齢者、生きがい創出も  「地域再生」

(2010年5月25日 共同通信社)

全国の地方新聞社と共同通信社が、識者らとつくる
「地域再生列島ネット」は、「高齢者の健康を地域で支えるには」を
テーマに、第11回の意見交換を行った。
地域医療の危機がいわれる現状を踏まえ、
在宅での医療や介護の充実が重要と提起。
コミュニティー構築や、働く機会を確保するなど、
生きがいの創出も必要との意見も。

▽県単位で調査

「試行錯誤する時間的余裕はない」
窪田裕行・福井県政策推進課課長補佐は訴える。
同県は東大と2009年、協定を結び高齢者をめぐる
共同研究を開始。
注目は、県単位では初めてという、03年度から8年分の医療や
介護保険のデータを基に行う分析。
有効な対策を打つには十分な調査が必要とし、
高齢化のスピードを考えれば早く取り組むべきだと指摘。

対策の大きな柱は、在宅医療体制の充実。
高齢化で、病院や医療施設だけでは対応が困難。
07年の調査で、寝たきりでも自宅で治療を望む人は46・9%、
最後まで住み慣れた地域でとの願いも強い。
窪田氏は、「老い」への対応が「新しい地方の生活モデル」につながる。

河内山哲朗・前山口県柳井市長も、
高齢者が自宅で暮らせるよう、家事援助や訪問介護へ資源を
誘導する政策を提起。
田谷徹郎・千葉県保険指導課長は、
在宅医療の充実は「難しい課題」と指摘。
自治体が成功例など成果を共有、財政出動を受け入れる意識を
高める必要もある。

▽担い手が連携

地域での支え合いが重要との指摘も。
藤波匠・日本総合研究所主任研究員は、
「コミュニティーを再生し、多様な年齢層が暮らす持続的な地域」を
目指すべきだと提言。
白戸洋・松本大教授は、都会のようにつながりが薄い地域では、
関係団体などが参加目的を決めた
「テーマ型コミュニティー」が効果的との考え。

小林敬典・鳥取県教委教育総務課長は、
高齢者の様子を確認するNPOなどの活動を
「新たな公的な取り組み」と、広がりを期待。
こうした担い手が力を発揮するために、
沼尾波子・日本大教授は、連携を進める調整が必要とし、
行政が役割を果たせるよう行財政システムの構築を求めた。

▽働ける環境を

木村陽子・自治体国際化協会理事長は、
高齢者の健康維持に、「生きがいを感じる環境」が重要。
渡辺英彦・富士宮やきそば学会会長は、
まちおこしの視点から、地方都市では高齢の女性にふさわしい
仕事の開発が課題。

沢井安勇・日本防炎協会理事長も、
意欲と体力のある人に働く場を提供する仕組みを提起。
高齢者の「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)確立に向け、
社会が取り組むよう求めた。

※地域再生列島ネット 

地方が抱える問題を話し合うため、全国の地方新聞社と
共同通信社が識者らとつくった。
まちづくりに取り組む団体の代表者や研究者、行政担当者ら、
さまざまな専門分野を持つ48人で構成。
毎月、テーマを決め電子メールなどで意見交換、
形にとらわれないシンクタンクを目指す。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/25/120749/

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