2010年6月11日金曜日

スポーツ政策を考える:荻原健司・参院議員(自民党)

(毎日 5月29日)

2004年の参院選比例代表に、自民党から立候補して
当選して以来、スポーツの普及、振興のためには、
政治の力も必要との認識を持って活動を続けてきた。

この6年間、日本のスポーツ環境が改善されたとは言い難い。
バブル経済がはじけて以降、企業スポーツの休廃部が続き、
未来あるスポーツ選手の行き場がない。

私のところにも、オリンピックに出場したことのある選手が
相談にやってくる。
日本のスポーツ選手を取り巻く厳しさを物語っている。

昨年の事業仕分けで、スポーツ予算は「大幅縮減」と判定、
文部科学省のスポーツ関連予算は今年度、
2億円増えて約227億円。

日本オリンピック委員会や日本体育協会への補助金が
減らされる中、オリンピックでメダル獲得が有望な競技を支援する
マルチ・サポート事業は大幅増となった。

スポーツが、経済状況の良しあしによって左右されているようでは、
国際大会で活躍できる選手はなかなか生まれてこない。

そういう意味でも、トップアスリートに対する国による支援を
充実させていくことが重要。
国の中でスポーツが果たす役割、機能は何なのかを
明確にしなければならない。

スポーツをすることによって、解放感を味わい、ストレスを発散する。
スポーツを通じて、体も心も元気になる。
これが、社会の健康につながっていく。

文科省の総合型地域スポーツクラブ作りが進んでいる。
今まさに日本のスポーツ文化そのものを作っている最中。
ただ単に、スポーツができる場所を確保するだけでなく、
スポーツを核にして人と人が触れ合い、絆が強まることが
地域の元気につながっていけばいい。

縦割りになっているスポーツの施策をまとめ、
マネジメントできるスポーツ庁のような組織を作ってほしい、
というのが現場の声。

全部が横でつながれば、効率は上がる。
すべての権限と予算を集約し、無駄な事業は
徹底的に排除するとともに、必要なものに
集中的に予算を投下していく。

底辺からトップまで、全部がつながるような
理想的なピラミッドの中で、スポーツ振興は進んでいく。

今回の参院選には立候補しない。
スポーツ庁の設置を含めて、国がスポーツを推進するうえで、
根拠とすべきスポーツ基本法の道筋が見えてきた。
法案の作成過程にかかわれたことはよかった。

数年前から、国会で仕事をしているという自負と、
現場に行けない、見えていないという思いが錯綜していた。
自分をはぐくんでくれた現場に戻って、
スポーツの課題を政治に反映させる活動をしていきたい。
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◇おぎわら・けんじ

1969年生まれ。早大卒。
スキー・ノルディック複合でオリンピック団体2連覇、
ワールドカップ個人総合3連覇。
引退後の2004年、参院議員に初当選。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/05/29/20100529dde035070021000c.html

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