2010年6月7日月曜日

エビさんの食べるスポーツ:名人の教え=海老久美子

(毎日 5月17日)

「あおばな」をご存じだろうか。

滋賀県草津市で昔から栽培され、花の青い色素が
友禅染の下絵用の染料として利用されてきたツユクサの一種。
化学染料の普及に伴い、栽培農家が激減したが、
1981年に草津市の市花に制定。

地方の一都市が大切に育ててきたあおばなだが、
近年の研究によって、血糖値の上昇を抑える働きのある
成分が含まれることが発見、にわかに注目を集めはじめた。
今では、あおばなから、お茶やそばなどが作られている。

あおばなを使った食品を作っているメーカーと、
大学のお菓子サークルで、あおばなのお菓子を発案してみよう、
という話が持ち上がり、その苗づけに誘っていただいた。

畑では、あおばな作りの名人がニコニコ顔で丁寧に説明、
苗を扱う様は、まるで孫と接しているかのよう。
あおばなへの愛情が伝わってくる。

名人によると、自慢は農薬を一切使わないで育てていること。
大変なのでは?と聞くと、
「畑がきれいだと、小さな緑のカエルがいっぱい来てくれて、
虫を食べてくれるんですよ。
そのカエルがちっちゃくてね、本当にきれいなんですよ」と
カエルさえいとおしそうに話してくれた。

あおばなは、サプリメントとしてタブレットにも。
サプリメントも食品。
効果効能以前に、原材料がどんなものかが重要。
名人のあおばな、という原材料への愛情とプライドを見せられ、
この名人が作っているものなら安心だ、と確信させてくれる経験。

サプリメントを取っているアスリートは非常に多い。
中には、人に勧められたからという理由だけで、
中身を知らないで取っているケースも少なくない。

サプリメントは、自分の体の中に入れるもの。
原材料の製作現場まで見に行けとまではいわないが、
サプリメントを取る時は、それくらいの心遣いを持っていてほしい。

【海老久美子・立命館大学スポーツ健康科学部教授】

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/05/17/20100517dde035050004000c.html

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