(読売 7月29日)
長野県伊那市立西箕輪中学校で開かれた生徒総会。
生徒会役員から、3学年6クラスの代表に、
「いじめや差別を絶対に許しません」などと印刷された
パネルが手渡された。
生徒会が採択した、いじめ根絶の「人権宣言」だ。
きっかけは、2007年12月の生徒会選挙。
生徒会長・副会長候補6人のうち、3人が「西中からいじめをなくす」
を公約に掲げた。
副会長候補2人が当選、新しい生徒会の主導で、
いじめ根絶運動が始まった。
生徒会は08年6月、生徒にアンケートを実施、
25%が「自分のクラスにいじめはあると思う」と回答。
同11月、全校生徒で小グループに分かれた討論を実施。
討論が、普段の人間関係に縛られないよう、
グループは学年を超えた縦割りとし、
「いじめを注意できる関係を作る」、
「相手の立場で行動する」など、率直な声を出し合った。
当時の生徒会長で、高校2年望月健人さん(16)は、
「みんなにいじめに対する意識を持ってほしかった」。
根絶運動はその後も引き継がれ、今年1月、2年目の縦割り討論会で
出た意見をもとに、宣言を採択した。
同中は、全校生徒177人。
自然豊かな地域に1586世帯が暮らし、保育園から中学校まで
ほぼ同じ顔ぶれ。
「固定された人間関係の中で、いじめの加害者も被害者も
自覚しにくく、我慢もする。
いじめは親や教師に見えにくくなり、生徒主導のこうした活動は
意味がある」と、片山寛教頭(57)。
人権宣言が採択された今年1月21日、同中で開かれた
いじめ根絶運動の記念講演会。
同県須坂市の団体職員前島章良さん(56)が講師として訪れ、
「我が子が生きているときに、こんな宣言があれば
救われたかもしれません」と語りかけた。
1997年、前島さんの長男で、同県須坂市立中学1年だった
優作君(当時13歳)が、「いじめられていた」という遺書を残して自殺。
前島さんは、同市を相手取って訴訟を起こす一方、
任期付き職員として、県教育委員会でいじめ相談を受ける側に
回った経験がある。
前島さんは、「いじめをなくそうとする努力が続く限り、
悲劇は少しでも減ると信じたい」。
◆西箕輪中の人権宣言
・いじめや差別についてよく理解するよう努力し、
周りにあるいじめに気付けるようになります。
・一人ひとりの個性を認め、いじめや差別を絶対に許しません。
・毎日明るくあいさつをし、みんなが声がけできる環境をつくります。
・常に相手の気持ちを考えて行動し、温かい言葉で話します。
・どんな時でも、助け合い、支え合い、励まし合う友達をつくります。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100729-OYT8T00219.htm
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