2009年3月3日火曜日

逆風の中で:第3部・サッカー界は今/4 クラブ経営、地域にシフト

(毎日 2月20日)

昨年12月、J1リーグ最終節で敗れJ2降格が決まった
東京ヴェルディのサポーターは試合後、7時間半にわたって
味の素スタジアムに残り、クラブ幹部に説明を求めた。
「現場の意向を無視した補強、解雇の責任はどこに」
などと書かれたメッセージとともに。
だが、それは混迷の一端に過ぎなかった。

不況の波が押し寄せていた。
クラブ運営会社の98・8%の株式を所有する日本テレビ放送網が、
昨年9月の中間連結決算で12億円の赤字を計上。
同社として37年ぶりの赤字転落は、東京ヴへの支援縮小に。
東京ヴの萩原敏雄社長は、日テレの全面撤退こそ否定するが、
「業務委託費」名目で多額の支援を受けてきた日テレだけを頼ることはできず、
「今後は潤沢な資金が下りてくることはない」(東京ヴ広報宣伝部)。

萩原社長は、「多くの株主がチームを支えるようになった方が、
親会社に頼らない経営に近づく」と、今オフは新たな株主探しに奔走。
だが、まだ経営パートナーは確定していない。

今季のスポンサー数は昨季の7、8割。
ユニホームの胸スポンサーも確定していない。
高額年俸のベテランを放出し、外国人選手の新規獲得はゼロ。
Jクラブの年間運営費は、J1が平均30億円、J2が10億円程度、
東京ヴはJ2で戦った06、07年でも20数億円規模を保っていたが、
今季の運営デザインが見えてこない。

入場料収入を十分に増やせなかったことも影響。
Jリーグ創成期は人気選手をそろえ、初代リーグ年間王者に輝くなど
名実ともにトップに君臨。
徐々に成績、集客とも落ち込み、01年以降は本拠地を川崎市から
東京都に移したが、流れは変わらなかった。
Jクラブの営業収入に占める入場料収入の割合はJ1、J2とも20%前後、
東京ヴは7~8%(06、07年)。
3季ぶりでJ1に復帰した08年の平均入場者数は約1万5000人、
同じ味の素スタジアムが本拠地のFC東京より、1万人以上も少ない。

Jリーグは、98年横浜フリューゲルスが出資企業の撤退で
経営難に陥って以降、「地域密着」を根幹に身の丈経営を推奨。
事務局内「リーグマネジメントグループ」では、Jクラブや一般企業で
経理、運営担当の経験を持つスタッフがクラブ経営の安定化促進、
運営ノウハウ共有化などを推進。
米国公認会計士の資格も持つ同グループの小沢昭彦マネジャーは、
経営は、入場料収入がベース。そのよりどころは地元。
企業以外に支えるところがなければ、企業が撤退すると危機になる」

東京ヴでは現在、地元教育委員会と連携して
サッカーコーチの学校巡回活動を大幅に増やすなど
地域活動にシフトしつつある。
クラブ創立40周年の今年、転換期となるか。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/20/20090220ddm035050053000c.html

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