(サイエンスポータル 2009年2月23日)
養豚農家などの畜舎から出る排水を、簡単な設備を付加するだけで
さらに浄化できる技術を、農業・食品産業技術総合研究機構の
畜産草地研究所が開発。
新しく開発された排水処理法は、現在、養豚農家で通常使われている
浄化施設に2つの槽を付加するだけでよい。
硝酸性窒素とリン酸を除去するための材料は、
市販品を利用しているのが特徴。
第1槽は、園芸店などでも売られている土壌改良資材である
パーライトの表面に、硫黄と炭酸カルシウムをコーティングした
粒状資材を詰めている。
この資材表面に、自然繁殖する硫黄酸化細菌によって
硝酸性窒素が除去され、茶褐色の排水もわずかながら色が薄くなる。
第2槽では、軽量発泡コンクリートを製造する際の副産物として
市販されているケイ酸カルシウム含有資材が、リン酸を吸着して除去し、
酸性化した排水を中和する効果がある。
これら2つの槽を付加することで、通常の排水処理を行った後に、
なお残っている窒素とリンが最大95%程度除去される。
畜産草地研究所は、東京農業大学、群立機器、クリオンと協力し、
実用化を検討。
日本の畜産業は、飼料を輸入に頼っており、畜糞の堆肥化という
資源循環も行われない結果、水質や土壌への
過剰な窒素の蓄積という悪影響が心配。
畜舎からの排水については、全国一律の水質基準が定められているが、
自治体によってはさらに厳しい水質基準を課している地域もあり、
これらの地域の畜産農家は排水中の窒素・リン濃度を、
通常の処理を行った場合よりもさらに低下させることが求められている。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/0902/0902231.html
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