(毎日 2月27日)
複合団体で14年ぶりの優勝を果たした日本(湊、加藤、渡部、小林)。
4選手は今大会初のメダル獲得の喜びに浸るとともに、
1年後に迫ったバンクーバー五輪に向け、闘志を新たにしていた。
日本の複合は90年代、前半飛躍で稼ぎ、後半の距離で逃げ切るという
勝ちパターンで一時代を築いた。
今回は、飛躍でやや出遅れても、距離で優勝争いを演じるという
今までにない勝ち方だった。
象徴的だったのが、アンカーの小林。
4位以下が離れ、2位でスタートした小林は、
「メダルは確実。あとはどのタイミングで抜け出すか」と
冷静に仕掛けどころをうかがい、力を蓄えて勝負に備えた。
ワックスの選択が当たり、スキーがよく滑ったため、
「下りで前に出ていれば行ける」と判断し、
残り700メートルの上りでスパート。
ゴール目前の競技場内でも、「余裕があった」といい、
猛追するドイツをかわした。
その姿は、前半飛躍の貯金で後半距離は悠々とゴールする
荻原健らとは違っていた。
急成長中の湊が183センチの長身を生かした滑りで1位に躍り出て、
距離に不安のある加藤も粘った。
渡部も集団に食らいついた。
それぞれが距離で力を発揮し、飛躍の得意な高橋大斗(土屋ホーム)が
外れた試合で勝ったという結果が、距離での健闘を物語っている。
複合選手だった父の影響で競技を始めた小林は、
荻原健らの活躍をテレビで見て、「かっこいい。自分もああなりたい」
20歳の渡部にとって、日本の全盛期は既に「歴史」。
その歴史と常に比較されてきただけに、小林は
「ぼくらが新しい歴史を作ったと思う」と胸を張った。
バンクーバーへ向け、新スタイルによる「お家芸」復活ののろしが上がった。
◇最後の直線、競り勝つ
前半飛躍5位の日本は、後半距離をトップと24秒差でスタート。
距離を得意とする第1走者の23歳、湊祐介(東京美装)から
首位争いを展開し、24歳の加藤大平(サッポロノルディックク)、
20歳の渡部暁斗(早大)も力走して先頭集団を形成。
最終走者の26歳、小林範仁(東京美装)がドイツ、ノルウェーとの
競り合いから抜け出し、最後の直線で追いすがるドイツを振り切ってゴール。
日本は、荻原健司らを擁した92~95年に五輪と世界選手権を4連覇し、
世界最強の名をほしいままに。
98年長野五輪はメダルなしに終わり、荻原健の引退もあって低迷。
今回の勝利は、来年のバンクーバー五輪へ弾みをつける復活劇。
金メダルに輝いた日本は、リベレツ市内でのメダルセレモニーに出席。
4人は市民らの歓声を浴びながら、ステージ中央で
メダルとトロフィーを受け取り、喜びを爆発。
湊は「不思議な気持ち」、加藤は「うれしい。夢みたい」と笑い、
渡部は「メダルは取れたらいいなぐらいに思っていた」
小林は「バンクーバー五輪へ、いいステップになった。
勝ったのはたまたまだと思っている。
まだ課題はあるので、しっかりステップアップしたい」と、
冷静に1年後へ気持ちを切り替えていた。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/27/20090227dde035050020000c.html
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