2009年3月1日日曜日

スキー:ノルディック世界選手権 複合団体 日本、復活の「金」 「歴史を作った」

(毎日 2月27日)

複合団体で14年ぶりの優勝を果たした日本(湊、加藤、渡部、小林)
4選手は今大会初のメダル獲得の喜びに浸るとともに、
1年後に迫ったバンクーバー五輪に向け、闘志を新たにしていた。

日本の複合は90年代、前半飛躍で稼ぎ、後半の距離で逃げ切るという
勝ちパターンで一時代を築いた。
今回は、飛躍でやや出遅れても、距離で優勝争いを演じるという
今までにない勝ち方だった。

象徴的だったのが、アンカーの小林。
4位以下が離れ、2位でスタートした小林は、
「メダルは確実。あとはどのタイミングで抜け出すか」と
冷静に仕掛けどころをうかがい、力を蓄えて勝負に備えた。

ワックスの選択が当たり、スキーがよく滑ったため、
「下りで前に出ていれば行ける」と判断し、
残り700メートルの上りでスパート。
ゴール目前の競技場内でも、「余裕があった」といい、
猛追するドイツをかわした。
その姿は、前半飛躍の貯金で後半距離は悠々とゴールする
荻原健らとは違っていた。

急成長中の湊が183センチの長身を生かした滑りで1位に躍り出て、
距離に不安のある加藤も粘った。
渡部も集団に食らいついた。
それぞれが距離で力を発揮し、飛躍の得意な高橋大斗(土屋ホーム)が
外れた試合で勝ったという結果が、距離での健闘を物語っている。

複合選手だった父の影響で競技を始めた小林は、
荻原健らの活躍をテレビで見て、「かっこいい。自分もああなりたい」
20歳の渡部にとって、日本の全盛期は既に「歴史」。
その歴史と常に比較されてきただけに、小林は
「ぼくらが新しい歴史を作ったと思う」と胸を張った。
バンクーバーへ向け、新スタイルによる「お家芸」復活ののろしが上がった。

◇最後の直線、競り勝つ

前半飛躍5位の日本は、後半距離をトップと24秒差でスタート。
距離を得意とする第1走者の23歳、湊祐介(東京美装)から
首位争いを展開し、24歳の加藤大平(サッポロノルディックク)、
20歳の渡部暁斗(早大)も力走して先頭集団を形成。
最終走者の26歳、小林範仁(東京美装)がドイツ、ノルウェーとの
競り合いから抜け出し、最後の直線で追いすがるドイツを振り切ってゴール。

日本は、荻原健司らを擁した92~95年に五輪と世界選手権を4連覇し、
世界最強の名をほしいままに。
98年長野五輪はメダルなしに終わり、荻原健の引退もあって低迷。
今回の勝利は、来年のバンクーバー五輪へ弾みをつける復活劇。

金メダルに輝いた日本は、リベレツ市内でのメダルセレモニーに出席。
4人は市民らの歓声を浴びながら、ステージ中央で
メダルとトロフィーを受け取り、喜びを爆発。

湊は「不思議な気持ち」、加藤は「うれしい。夢みたい」と笑い、
渡部は「メダルは取れたらいいなぐらいに思っていた」
小林は「バンクーバー五輪へ、いいステップになった。
勝ったのはたまたまだと思っている。
まだ課題はあるので、しっかりステップアップしたい」と、
冷静に1年後へ気持ちを切り替えていた。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/27/20090227dde035050020000c.html

0 件のコメント: