(毎日 2月23日)
昨年、ファジアーノ岡山の木村正明社長のもとに電話。
「契約の話を白紙に戻す」
新シーズン、メーンスポンサーとなる予定だった企業から。
「覚悟はしていたが、ついに来たか」。不況の到来を実感した瞬間。
米系証券会社のゴールドマン・サックス証券で、
執行役員を務めた経歴を持つ木村社長は、
かつてのバブル経済崩壊と比べ、今回の景気落ち込みの速さを感じている。
「(9月の)『リーマン・ショック』から、一気に最悪の雰囲気になった」
チームはJリーグ入りを目指し、JFLで上位争いを繰り広げた時期。
J参入が決まれば、予算規模を拡大せざるをえないが、
スポンサー探しに暗雲が垂れこめた。
結局12月のJリーグ入会審査直前になって、メーンスポンサーに
岡山ガスを迎えることができた。
同社の岡崎彬社長は、地元商工会議所の会頭。
木村社長は、「窮状を救ってもらった」と感謝。
メーン以外のスポンサーにも支えられた。
親企業を持たない市民クラブとして、地域に根ざした営業を進めた効果もあり、
「こういうときこそ互いに頑張ろう」と、大半が出資を継続。
岡山は、性急な拡大路線に乗らない、小ぶりな「J2型経営」を掲げる。
JFLの08年度は、2億2000万円で収支が均衡したが、
09年度は倍以上の予算規模を設定。
これでも、J2最低レベル。
「JFL時代と同じ選手層で勝てないと分かっているが、
若いチームが試合を通じて伸びていく、というやり方しかできない」
目を引く補強は行わず、主力メンバーは、
地域リーグを戦った当時から変わっていない。
J2では苦戦が予想される。
「負けても、愛されるチーム作りが大事。成績に関係なく、スタジアムに
常時1万人入るようになることが、地方クラブの生きる道だと思う」
JFL時代にも好評だった、小学生を対象とした無料パス制度「夢パス」は、
今季も継続する。
夢パス利用の入場料相当額を、スポンサーが負担するシステムで
支援企業、地域との一体感を、より高めていく。
木村社長の経済認識は前向き。
「皆さん、悲観的すぎる。ダメージはしばらく残るだろうが、
『ここ数年は暗黒時代』という状況にはならない」
それでも、景気に左右される経営は行わない。
「日本が右肩あがりで急成長したり、バブルを謳歌できる時代は終わった」
壮大な夢は見ず、「100年後まで残るクラブ」を目指して、地道に汗をかく。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/23/20090223ddm035050089000c.html
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