(毎日 5月19日)
名門・西武が撤退し、土台が揺らぐアイスホッケーのアジアリーグに、
今秋から参戦が認められたチームがある。
昨秋設立されたばかりの東北フリーブレイズ(FB)。
実質上の親会社は、東北地方を中心にスポーツ用品店などを
展開する「ゼビオ」(本社・郡山市)。
球団社長とゼネラルマネジャーを兼ねる荒城啓介監督(34)は、
「きっかけは、『出るくい制度』だったんです」
出るくいを「打つ」のではなく、「抜き上げる」ことを狙った
同社独自の人事制度。
社内試験をクリアすれば、パートや契約社員も店長になれる。
荒城監督は、日光アイスバックスで選手兼球団社長も務めたが、
経営難もあって04年に社長辞任。
知人の勧めで、ゼビオに入社。
会社からは、「子どもたちにアイスホッケーを教えないか」と誘われ、
昨年6月、自らチーム設立を提案。
「働くうちに、『トップチームを作ることで、地域社会に何かできないか』
と思ったが、本当に採用されるとは」
ゼビオは昨年7月、多様な競技の経験がある社員を中心に、
東北各地でスポーツ指導を行う子会社を設立。
その一環で、チームを運営する「東北アイスホッケークラブ株式会社」
が発足、荒城さんが社長に抜てき。
運営の柱の一つには、社会貢献活動を据えた。
従来の企業スポーツの存在意義といえば、
「社員の一体感の醸成」や「広告宣伝」。
荒城監督自身も日光の前身、古河電工でプレーしたが、
入社2年目で休部となり、「『一体感』や『広告宣伝』だけで、
スポーツが生き残るのは難しいと感じた」
リンクの使用料や試合の移動経費。
アイスホッケーには多くの費用がかかる。
FBを設立後、西武の廃部が明らかになったが、
「チームを持つ考え方が異なる分、むしろ動揺はなかった」
スポーツの底辺拡大が、スポーツ用品販売の需要掘り起こしにつながる、
という企業の「計算」もうかがえる。
従来とは異なる社会との接点を重視したチーム運営。
「社員として店舗で働いてもらうし、社会に出て技術指導する機会も多い。
負担は大きいが、それには耐えてもらいたい」
郡山市とアイスホッケーが盛んな八戸市を拠点に、
東北全域でホームゲームを実施する計画を立てている。
フリーブレイズの名称には、氷上を「自由」に「刃(ブレイド)」で切り開く、
という意味がある。
みちのくの地で始まった新たな挑戦。
閉塞したスポーツ界を切り開けるか。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/05/19/20090519ddm035050091000c.html
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