(日経 5月21日)
1台で様々なことを調べられる電子辞書。
最近の機種は、辞書の枠組みを超えた機能を数多く備えている。
ちょっとした合間の時間に、手軽に語学を勉強したり、
取引先との会話の糸口を見つけたりするといった使い方を、
電子辞書メーカーで働くビジネスパーソンに聞いた。
「苦手なリスニングを克服できました」
シャープでマーケティング業務を担当する谷口裕美子さん(24)は、
英語の勉強に電子辞書を活用。
谷口さんは、会社の行き帰りの電車の中で電子辞書を取り出し、
ヘッドホンのコードをつなげる。
スイッチを入れると、ネーティブスピーカーの朗読が耳に入ってくる。
最近の電子辞書は英単語だけでなく、長文の文書のデータも搭載。
日々の努力の積み重ねが功を奏し、
「国際コミュニケーション英語能力テスト(TOEIC)」の点数は、
2年前より100点以上高い700点台半ばに跳ね上がった。
リスニングであれば、ICレコーダーを使うやり方も。
谷口さんがあえて電子辞書を使っているのは、
「ちょっと気になった単語を、その場ですぐに調べられる」
言葉の意味を文章だけでなく、イラストや写真でも確認できる。
ICレコーダーではこうはいかない。
リスニングの練習道具にとどまらず、知識を深められるのが
電子辞書の最大の利点。
こうした機能は、パソコンでも利用できる。
最近は、「ネットブック」と呼ばれる低価格の超小型パソコンが普及、
外出先でも気軽に利用できる。
電源を入れてから起動するまで、時間がかかってしまう。
電子辞書であれば、思い立ったときにすぐに使えるので、
通勤途中や昼休み、取引先への移動中など
「細切れ」の時間での学習に適している。
ビジネスの現場でも、電子辞書は強い味方になり得る。
キヤノンマーケティングジャパンで、販売企画に従事している
横尾恭子さん(25)は、百科事典を収録している電子辞書を
営業ツールとして利用するようにすすめている。
出張する際、「その地方の歴史や名産品を事前に調べておけば、
初対面の人とも会話が続く」
パソコンでも調べられるが、電子辞書はインターネットに
接続する必要がなく、電車の中や空港などでの待ち時間など
ちょっとした時間にすぐに調べられる。
会食の席でも、電子辞書の活躍の場はある。
献立やメニューで見慣れない料理の名前があれば、
すぐに調べて話のきっかけにすることも。
相手の趣味や関心事について、予備知識が乏しかったとしても、
電子辞書があれば、ある程度は話についていける。
NHKの大河ドラマの登場人物に関する項目に目を通しておけば、
会話が続かなくて、気まずい思いをする危険性はかなり減りそう。
「ちょっと調べてみましょうか」と切り出せば、
自分の知識をひけらかしているという印象を与えずに済む。
商談でも、あやふやな点を確認するといった使い方が考えられる。
電子辞書に収録されている機能は多岐にわたるが、
国語辞書や英和辞書しか使っていない人が多いのが現状。
カシオ計算機で、電子辞書に収録する辞書の選定などを担当する
小林雄一さん(50)は、「購入したら、
本体の収録メニューボタンを押してほしい」
ボタンを押すと、語学学習用のコンテンツや百科事典、
ビジネス文書の書き方、冠婚葬祭のマナー、法律用語辞典などが
収められていることがわかる。
「自分には関係のなさそうな機能でも試しに使ってみると、
意外な面白さを感じられる」と小林さんは力説。
日本文化を、英語で紹介する機能があったとする。
仕事に役立たないかもしれないが、そのように表現するのか、
といった新しい発見がある。
こうしたことを繰り返していると、話題が豊富な人として
一目置かれる存在になれるかもしれない。
電子辞書の面白みを発見したら、
気になった点を調べる癖を付けることが重要。
いつも手の届く場所に置いておくことが、使いこなしへの一歩。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090520.html
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