2009年6月5日金曜日

ダイエット 納豆、寒天、リンゴ、バナナ…根拠なし

(2009年5月22日 毎日新聞社)

納豆。寒天。リンゴ。バナナ。ゆで卵。
手を替え、品を替え、登場する何々ダイエット。
バナナダイエットがブームとなり、一時店頭からバナナが消える騒ぎも。

何かを食べてやせるということは、ありえない。
昨年秋、テレビや雑誌などで、バナナダイエットが話題に。
うたい文句は、「朝、バナナを1-2本食べ、
コップ1杯の水を飲むだけでやせられる」
昼と夜は、好きなものを食べてよいという手軽さが受けた。

バナナでやせられる理由として、
(1)糖質や脂肪を分解・燃焼する酵素が豊富
(2)抗酸化作用の高いポリフェノールが多く、細胞の活性化と代謝を促す
(3)食欲を抑えるアミノ酸が含まれる
(4)便通をよくする食物繊維が豊富--など。

こうした理由は科学的に正しいのか?
バナナ1本(100グラムと仮定)は約90キロカロリーで、
小さめのおにぎり1個程度のカロリーに相当。
バナナ2本で満腹感を得て、従来の朝食に比べて、
摂取カロリーを減らせばやせられる可能性はある。

だが、バナナで朝の摂取カロリーを減らしても、昼と夜の食事で
摂取エネルギーを増やせば、やせることはない。
体重を減らすには、消費エネルギー以下に摂取エネルギーを抑えるしかない。

高橋久仁子・群馬大教授(栄養学)は、
「バナナを食べてやせたというのは、今まで食べていた朝食より
カロリーが減ったから。
バナナダイエットは、バナナを食べて、空腹を紛らすというだけ」

特定の食品を食べてやせられると思うのは幻想。
酵素の豊富なバナナを食べると、
一緒に食べた肉類などの脂肪を速やかに分解すると言われている。

長村洋一・鈴鹿医療科学大教授は、
「酵素は、胃や腸でほとんど分解され、
体内で脂肪の燃焼にかかわることはない」

ポリフェノールは、大豆や他の果物にも豊富だが、体重の減少と関係ない。
バナナに含まれる食物繊維は、ジャガイモやレタスと同程度で特に高くない。
「特定の機能性成分を誇大視するダイエットは要注意」と高橋教授。

「食欲を抑える効果のあるリジンやアルギニンなどのアミノ酸が豊富」
という言い方はどうか?
肉や魚には、バナナよりも多くのリジンが含まれる。
この説だと、肉や魚を食べても、食欲が抑制されることに。

「バナナに、わずかながらリジンなどのアミノ酸が含まれている。
そうしたアミノ酸が、食欲を抑制させることはない」と
味の素アミノサイエンス研究所の担当者。

雑誌の特集やネットなどでは、
「バナナを食べたら、やせた」という体験談が登場、
それを支持する専門家の発言も添えられている。
最近は、バナナと同じ言い方で、キウイのダイエット本まで出てきた。

長村教授は、「個人の体験談や一専門家の見解は、
科学的な確かさのレベルは非常に低い場合が多く、だまされないように」
と、市民の側にも冷静な目が必要。

中谷内一也・同志社大教授(心理学)は、
「健康情報が多すぎ、単純で分かりやすい情報に飛びつく側面がある」
「ダイエットは、簡単に成功するものではないことを知っておくことが大切」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/5/22/99742/

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